微生物の力で発電、燃料電池を開発 浜松の企業が市販スタート

 浜松市東区の電子機器製造マウビックが、微生物の力で発電する微生物燃料電池を開発し、7日に販売を開始した。液晶時計を作動させる程度の小規模装置だが、市販化は非常に珍しいという。同社は「未来に向けた研究のたたき台に」と学校や研究機関向けに販売予定で、“究極のエコ発電”と言われる同電池の研究促進と将来の普及に期待を寄せる。

開発した微生物燃料電池の発電状況を確認する小沢誠社長(右)と技術主任の田北文彦さん=浜松市東区のマウビック
開発した微生物燃料電池の発電状況を確認する小沢誠社長(右)と技術主任の田北文彦さん=浜松市東区のマウビック

 新商品「マイクローブパワー」は水を張った小型容器に土を入れ、水底と水面に置いた二つの電極を通じて発電する。電源となる微生物が生息する土は同社近くの水田で採取した。出力約1ボルト、発電力は100マイクロワット(0・0001ワット)。
 同社は本業以外に燃料電池の材料販売を手掛け、10年前から米国製の教材用の小型微生物燃料電池を輸入販売するなど、微生物燃料電池に強い関心を抱いてきた。昨年、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構、茨城県)が同電池用の高出力ステンレス板電極を開発したことを知り、同機構の技術協力を受けて自社開発に着手した。米国製の炭素繊維電極と組み合わせ、容器を二槽式にして発電能力を高めるなど工夫を重ねて完成させた。
 1台3万5千円(税別)で、年間100台の販売を目指す。同社技術主任の田北文彦さん(56)と二人三脚で開発を手掛けた小沢誠社長(57)は「10年を経て、ようやく夢が一つ形になった」と安堵(あんど)の表情。今後について「技術開発を進め、農業用ハウス内で必要な電力をまかなったり、汚水処理と組み合わせたりするなど農業・環境分野で広めたい」と夢を描く。

 <メモ>微生物燃料電池 微生物が有機物を分解する過程で生じる微弱な電流を利用して発電する。電流を発生する微生物は、一般的な土壌や水中に広く生息しているという。発電能力の向上が最大の課題。近年、国内外の研究機関が発電装置を含め研究を急ぐ。

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