下田の風感じる壁紙、野原HD(東京都)ブランドに新柄

 建材商社の野原ホールディングス(HD、東京都)が自社の壁紙ブランド「WhO(フー)」に、下田市を題材にした新柄を加えた。製品化の過程では都内のデザイナー、学生らが現地を訪ね、街歩きや住民との触れ合いを通じてその土地ならではのデザイン案を描く「創作型ツーリズム」の手法を導入。プレゼン選考を経てグランプリ作品を採用した。同社は「五感で捉えた下田の魅力が形になった」としている。

下田を題材にした壁紙を見ながら、創作当時を振り返る(右から)梅田さん、近藤浩さん、近藤正さん=下田市
下田を題材にした壁紙を見ながら、創作当時を振り返る(右から)梅田さん、近藤浩さん、近藤正さん=下田市

 「下田の街の雰囲気をうまく表現できた」
 11月25日、不動産情報サービスのLIFULLが運営する同市内のワーケーション拠点「リビングエニウェア・コモンズ(LAC)伊豆下田」。施設内に貼られた新柄の壁紙が披露されると、考案者のテキスタイルデザイナー近藤正嗣さん(37)が笑顔を見せた。
 タイトルは「KAZEMACHI」(風街)。街角のなまこ壁や海岸で見た波紋から着想したモチーフの間を、風が流れるデザインに仕上げた。「海に面しているのに、山も近くにあるためかべたつきがなく、街全体がさわやかだった」との印象も色彩に込めた。
 野原HDの近藤浩正インテリアスタイルカンパニー長(41)=富士宮市出身=は「住宅やオフィス、ホテルなどどこにでも合う」と出来栄えに満足感を示す。既に下田の地場工務店から「お客さんに積極的に提案したい」との反応が寄せられているといい、「『自分たちの街の壁紙』として、地元でもさまざまな場所で使ってもらえれば」と期待する。

 ■住民と交流 価値発見 創作型ツーリズム
 今回の創作型ツーリズムは、地域性とデザイン性を兼ねた新たな壁紙の柄の開発を検討していた野原HDと、コロナ禍による地方回帰意識の高まりを受けてワーケーション普及に取り組むLACの目指す方向性が一致。両者が共同企画し、8月末に3日間実施した。
 最も大きな特徴は下田の住民を巻き込んだ活動という点。都内からの参加者6人と一緒に街を歩いたり、交流会をしたりして、歴史や文化、人々の暮らしや気質といったデザインの素材となる“キーワード”を提供した。
 実際、グランプリを獲得した近藤正嗣さんは肌で触れた空気感とともに、住民から聞いた「下田は昔、風待ち港だった」という話からイメージを膨らませたという。他の参加者も黒船やジオ(地形)といったテーマで下田らしさを表した。
 LAC管理者の梅田直樹さんは「地元の人は魅力を伝えることで下田のプライドを確認しただろうし、外の人と一緒に新しい価値を作れた。これは互いが再び会い、より発展したものや仕事をここから生み出すきかっけになるはず」と受け入れ側にも意義があったと話している。

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