障害者と企業のマッチング縮小 静岡県内就職2割減に
(2020/11/30 09:00)-
新型コロナウイルス感染拡大による雇用情勢の悪化で、就職を希望する障害者と企業のマッチングの機会が減っている。障害者向けの合同企業説明会の中止や規模縮小、感染症対策から職業訓練の受け入れを控える動きなどから、ことし4~9月の静岡県内障害者の就職件数は1340件と前年同期に比べて2割落ち込んだ。
「4月に勤め先から『しばらく休んで』と電話があり、ずっと休んでいる。いつ戻れるか分からず、別の仕事を探したい」。10月下旬、浜松市中区のハローワーク浜松で開かれた障害者向けの企業面接会。精神障害のある市内の40代女性が語った。
ハローワーク浜松はことし、例年50社ほどを集めて実施している合同就職面接会を中止した。代わりに1日2社、事前予約制の「ミニ面接会」を10日間企画し、20社の面接に70人が臨んだ。来年3月からの障害者の法定雇用率引き上げを見据え採用を強化しているという県西部企業の担当者は「障害者との面談をオンラインで行うのは難しい」と話す。
特別支援校などが実施する職場実習にも影響が及ぶ。静岡市葵区の県立静岡北特別支援学校の土屋憲治進路指導主事は「業務の縮小による採用見合わせや、感染対策のために実習を断られるケースが少なからずあった」と、受け入れ先開拓の苦労を明かす。さらにことしは休校期間を受けて就職につながる高等部3年生の実習が例年の9月から12月に繰り下げになり、「卒業まであまり間がない中での実習となってしまう」と懸念する。
障害者の雇用が義務化される対象企業は来年3月の法定雇用率引き上げと合わせて拡大する。障害者の就労を支援するNPO法人オールしずおかベストコミュニティ(同区)の織部克雄統括コーディネーターは「現状の雇用維持自体が課題となっている企業も多く、先行き不安感から就職自体に及び腰になっている障害者の声も聞く。コロナ禍の障害者雇用促進には、よりきめ細やかな支援が企業、障害者双方に求められる」と指摘する。
<メモ>国や自治体、民間企業に義務付けられている障害者の法定雇用率は2021年3月1日から0・1ポイント引き上げになり、企業は2・3%、国と自治体は2・6%となる。雇用義務の対象になる民間企業の従業員規模も広がり、現行から2人少ない43・5人以上(短時間勤務者は0・5人)になる。静岡労働局によると対象は現在の約3千事業所から350事業所ほど増える見通し。19年6月現在の県内企業の法定雇用達成割合は52%。
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