「キミサワ」ブランド終幕 マックスバリュ東海が屋号統一
(2020/11/26 17:44)-
食品スーパー「マックスバリュ東海」(浜松市東区)はグループの店舗屋号をマックスバリュ系に統一し、県東部などで長年親しまれた「キミサワ」の店名を2021年末までに廃止する。1926年に三島市で個人営業の薬局として開業。97年に経営破綻した「ヤオハン」とともに、県内を代表する小売業に成長して戦後の経済成長期を駆け上がったキミサワブランドは95年の歴史に幕を下ろす。
11月上旬、三島市のキミサワ加茂川店ではマックスバリュのジャンパー姿の店員が接客し、客はキミサワの名前とロゴ入りの買い物かごを手に品定めしていた。店内で混在する二つのブランド。静岡、神奈川両県に残る「キミサワ」と系列の「ザ・コンボ」「グラッテ」計8店の屋号を改め、マックスバリュの知名度向上と地域により密着した一体的な店づくりを進める。
創業の地に近いキミサワ広小路店(同市)をよく利用するという60代の女性は「キミサワの名前がなくなるのは不思議な感じだけど、店が変わるわけではない。これからも通う」と話した。
マックスバリュ沼津南店(沼津市)の木苗秋彦店長(58)は81年、当時のキミサワに入社した。「『限りなくお客さまに近づく』を企業理念に掲げ、君沢藤一社長以下、全従業員が愚直に実行した会社だった」と振り返る。「寂しさはあるが、キミサワで学んだお客さまのことを考え、基本を徹底する姿勢は今も変わらない」と強調する。
■薬局から東証1部上場
キミサワは創業者の君沢安氏が三島市広小路町の売り場面積5坪(16・5平方メートル)で始めた薬局が起源。息子の藤一氏がドラッグストアに発展させ、スーパーマーケットのチェーン展開も開始した。1986年にシンガポールに出店し、2年後に名古屋証券取引所2部に上場した。元従業員の男性(66)は「商圏が重なるヤオハン、ひのやと競い合うように成長していった」と回顧する。
93年にハックイシダ(横浜市)と合併し、社名をハックキミサワに変更。東京証券取引所1部に上場して連結売上高は1千億円を超えた。だが、コンビニエンスストアの台頭などで競争が激化。スーパーとドラッグストアを併設する新業態の店舗づくりも成果は上がらず、イオンの連結子会社になり、スーパーとドラッグストア事業を分割した。
ドラッグストア事業を引き継いだウエルシアホールディングス(HD、東京)はキミサワの屋号を使っていない。かつてしのぎを削ったキミサワとヤオハンは現在、ともにマックスバリュ東海になっている。
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