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サクラエビ資源量、依然回復せず 秋漁前に分析結果発表

(2020/10/20 08:35)
情報連絡会を終え会見する実石正則県桜えび漁業組合長(中央)=19日午後、静岡市清水区の由比港漁協
情報連絡会を終え会見する実石正則県桜えび漁業組合長(中央)=19日午後、静岡市清水区の由比港漁協
由比漁協による富士川沖と蒲原沖の卵の実数調査結果
由比漁協による富士川沖と蒲原沖の卵の実数調査結果

 11月1日に解禁する駿河湾産サクラエビの秋漁を前に県水産・海洋技術研究所(焼津市)は19日、2018年春漁から続く未曽有の不漁の中で、サクラエビの資源量は依然回復していないとの分析結果を発表した。漁業者が継続している漁獲自主規制の成果は見られなかった。
 分析は産卵調査(6~10月)と親エビなど成体を対象にした調査(9~10月)の2種類で実施。18年秋漁から事実上の「禁漁区」としている富士川沖など湾奥の回復が特に遅れていた。県桜えび漁業組合(実石正則組合長)は漁獲自主規制を継続する方針で、近く船主会で決定する。
 県水技研の発表は同日に由比港漁協(静岡市清水区)で開かれた情報連絡会の冒頭であった。組合は今後も親エビの調査を行い、最終的に秋漁の出漁判断をする。
 秋漁は12月23日まで。

 ■漁師悲痛「もう目いっぱい」 厳しい資源回復
 2018年春漁から続く駿河湾サクラエビの不漁。「漁史上初」とされる漁師たちの漁獲自主規制にもかかわらず、資源量は依然、上向かなかった。19日の情報連絡会後の会見で実石正則県桜えび漁業組合長(64)は「漁業者はもう、目いっぱい。本当に我慢してきている。いままでにやったことがない自主規制をやっている」と声を絞り出した。
 情報連絡会では、県水産・海洋技術研究所(焼津市)の鈴木朋和上席研究員が11月1日に解禁する秋漁前の資源状況を解説した。産卵時期が遅れ、主産卵場の富士川沖など湾奥に卵が少ないことから鈴木上席研究員は「資源状態は回復していない」と述べた。
 実際に資源調査をした「乗り子」と呼ばれる乗組員は、静岡新聞社の取材に「生まれたての赤ちゃんみたいなエビしかいなかった。漁ができる群れはいなかった」と証言する。
 組合は漁史上初めて18年秋漁を全面休漁とした。19年春漁以降は主産卵場の湾奥を禁漁区とするなど、かつてない厳しい規制を導入している。
 実石組合長は「この2年間やるべきことをやってきた」。ことし春漁では2日間にわたって禁漁区での操業があったが、今後継続予定の自主規制順守を徹底するよう文書を出す。
 国立中央水産研究所元所長の中村保昭氏(78)=焼津市=は自主規制下の操業に対し「漁師の努力で群れの中から1歳エビだけを選択的に取るのは技術的に困難ではないか。資源再生産を損なわず、維持する範囲内での漁獲量(生物学的許容漁獲量=ABC)の思想を取り込んだ手法が望ましい」と提案した。

 ■湾奧の回復ほぼ見られず 原因は“謎”のまま
 県水産・海洋技術研究所の説明によると、サクラエビの主産卵場とされる駿河湾の奥部では依然として資源量が少なく回復はほぼ見られない。県桜えび漁業組合の実石正則組合長は「不思議なことで(どういうことなのか)知りたい」と嘆いた。19日の情報連絡会も湾奥の資源量の低さが前提として進み、原因は“謎”だ。
 由比港漁協による卵の実数調査(6月23日から10月13日)では、富士川沖では442粒(調査日数26日)、蒲原沖では486粒(同27日)だった。調査期間が異なるため単純比較できないが、1日当たり平均を見た場合、19年比でほぼ横ばい、18年比では半分以下の水準にとどまった。
 同研究所の19日の発表によると、9月中旬から10月上旬にかけて実施した資源量調査では、湾奥で採捕した1721匹中、3・5センチ以上の親エビは約3%(約50匹)。約11%の湾中部、約12%の湾南部に比べても少なく、成長が遅れていた。

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