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働く障害者の職場支援手厚く 「企業内コーチ」静岡県が育成強化

(2020/5/14 17:02)
企業内ジョブコーチとして障害者らの就労定着に取り組むタカラ・エムシーの橘祐介さん(左)=島田市
企業内ジョブコーチとして障害者らの就労定着に取り組むタカラ・エムシーの橘祐介さん(左)=島田市

 静岡県は本年度、民間企業が自社で働く障害者の定着を支援する「企業内ジョブコーチ」(職場適応援助者)の育成を強化する。2021年3月末までに民間企業の法定雇用率が現行の2・2%から2・3%に引き上げられることを見据え、職場で日常的に障害者と接する担当者らにジョブコーチ養成講座の受講を積極的に促す。
 食品スーパーを展開するタカラ・エムシー(静岡市)が島田市に構える金谷センター。青果の袋詰めを行う現場で、精神や知的などの障害のある10人ほどの従業員が手際良く作業を進めていた。「休憩の取り方や分かりやすい作業指示などの工夫で、障害者が主体的に働いてくれている」。作業を見守る商品管理部の青果バイヤー橘祐介さんが説明した。
 橘さんは県の養成講座を3年前に受講した企業内ジョブコーチ。5年ほど前から同センターで障害者の就労に携わってきたが、専門性を高めようと養成講座に参加したという。「『こだわりが強くて作業が進まない』『意思疎通が難しい』など、以前は戸惑っていた問題も、障害特性として理解した上で対応できるようになった」と振り返る。
 店舗を含めた同社の障害者雇用率は法定雇用率を上回る2・78%。総務課係長の白鳥高行さんは「定期的に現場を訪ねてくれる県の派遣型ジョブコーチと連携し、さらに雇用を進めたい」とする。
 県は01年から、専門知識を備えた派遣型のジョブコーチが企業などに出向いて障害者の就労を支援する派遣制度を実施し、養成講座で人材育成も図っている。派遣型のジョブコーチは現在、県内7拠点約50人で年間支援は延べ約300人。法定雇用率の引き上げで今後、企業などで働く障害者がさらに増えることを見据え、職場で日常的に定着を支援する企業内ジョブコーチの育成を強化し、「派遣型」との連携で障害者の定着を後押しする。
 派遣事業を県から受託する「浜松NPOネットワークセンター」(浜松市)の井ノ上美津恵代表は「企業内人材と派遣型が協力すれば困り事が生じた際に早期に対応でき、より充実した定着支援につながる」と期待する。

 <メモ>静岡労働局によると、県内で障害者雇用が義務付けられている従業員45・5人(短時間労働者は0・5人で計算)以上の民間企業の雇用障害者数(2019年6月現在)は、前年比6・8%増の1万2536・5人と、10年連続で過去最高を更新した。実雇用率は0・10ポイント増の2・15%になり、7年連続で過去最高となったが、法定雇用率(2・2%)には届かなかった。法定雇用未達成企業は全体の約48%にあたる1464社。障害者を1人も雇用していない企業は857社あった。

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