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イルカ追い込み操業なし いとう漁協、漁期終了 群れ発見できず

(2020/4/1 19:54)
いとう漁協は今季、探索船を5度出港させたが、バンドウイルカの群れは発見できなかった=昨年12月、伊東市の富戸漁港
いとう漁協は今季、探索船を5度出港させたが、バンドウイルカの群れは発見できなかった=昨年12月、伊東市の富戸漁港
伊東のイルカ追い込み漁のイメージ
伊東のイルカ追い込み漁のイメージ

 伊東市のいとう漁協が静岡県内で唯一継承する伝統漁法「イルカ追い込み漁」は31日、今季の漁期を終えた。漁協は水族館などで展示・飼育するための「生体捕獲」に限定した上で2004年以来、16年ぶりの捕獲を目指してきた。しかし、追い込みに見合うイルカの群れを発見できず、操業機会はなかった。
 漁協によると、今季はカマイルカ26頭、バンドウイルカ24頭、オキゴンドウ7頭の計57頭の捕獲枠が付与されていた。関東近郊の水族館などから捕獲枠上限の受注があったバンドウイルカを中心に探索を進めてきた。
 昨年12月5日~今年2月12日に探索船を計5度出港させたほか、操業中の漁船から群れの目撃情報が2度寄せられ、確認に向かった。ただ、今回は捕獲対象外だったカマイルカの大群が複数回目撃されたものの、バンドウイルカは1月上旬に5頭程度の小さな群れを確認しただけだったという。漁協は来季(10月~21年3月)も引き続き捕獲を目指す方針。
 国内で追い込み漁の捕獲枠を持つのは伊東市と和歌山県太地町だけ。伊東市は04年を最後に捕獲がなく、15年に伊豆半島ジオパークの世界認定の保留理由の一つに挙げられてからは実質的に自粛していた。漁協幹部は「操業に向けた雰囲気は高められた。イルカ類が回遊していることは分かったので、来季は捕獲できるよう粛々と進めていく」と話した。

 ■継承へ前進も海況様変わり
 出漁機会が一度もないまま、31日に今季の漁期を終えた伊東のイルカ追い込み漁。操業準備や関係機関との連携を通じて伝統漁法の継承へ一定の機運醸成にはなった半面、漁に見合うだけの肝心の群れは発見できなかった。背景に2004年の前回捕獲時とは異なる海洋環境を指摘する声もあり、過去の経験則では計れない状況も生じている。
 今季はイルカの餌になるサンマが北太平洋で記録的不漁に陥り、伊東沿岸の定置網でも漁獲が低迷した。相模灘の潮流や海水温が04年とは様変わりしていると感じている漁業者も多い。
 いとう漁協は過去の経験を基に、定置網にサンマが入り始めた12月以降に探索船を出したが、バンドウイルカの群れは見つからなかった。同漁協富戸支所の島田尚彦支所長は「バンドウイルカの回遊時期やルートが16年前と変わっているのかもしれない。豊漁だったイワシの群れを追っていた可能性もある」と分析。来季は探索船の出港時期を前倒しするなどして群れの発見に努めるという。

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