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静岡の茶箱、職人技未来へ 川根本町など5軒、後継育成に力

(2020/3/24 18:00)
洗練された技術で茶箱づくりに励む若手職人ら=3月上旬、川根本町桑野山
洗練された技術で茶箱づくりに励む若手職人ら=3月上旬、川根本町桑野山
布を装飾した「インテリア茶箱」
布を装飾した「インテリア茶箱」

 優れた防湿、防虫効果から茶葉の保管に使われる茶箱。昔ながらの技術を継承する製造所は全国でも静岡県内の5軒のみとなり、後継者不足を理由に多くが存続の危機に立たされている。川根本町ではことし、若手職人らが製造所の事業を承継した。近年はインテリアとしての需要も高まる茶箱の良さを伝え、茶どころならではの産業を守ろうと奮闘している。
 創業60年を迎えた川根本町の「前田製函所」から事業を受け継いだ「前田工房」(薗田喜恵子社長)。約3年間かけて4人が親方前田宥さん(79)の元で修行を積み、1月から本格的に茶箱製造をスタートさせた。洗練された技術で、くぎ打ちやはんだ付けなど細かな作業に汗を流す。福祉業から転身した中村綾美さん(35)は「一ミリの狂いも許されない作業ばかり。何とか一人前になりたい」と意気込む。
 かつて茶の保存や運搬の道具として全国で生産された茶箱だが、平成に入る頃から役割を変え、デザイン性や機能性の高さが注目されるようになった。茶箱の新たな活用の可能性を感じて前田工房の設立に動いた薗田社長は「(茶箱を)未来に残せるかが問われる重要な時期。今では静岡だけの産業であることを誇りに、業界一体で存続策を考えたい」と話す。
 掛川市の創業100年を超える「鈴木製函所」もインテリア向けを含め全国から注文を受けるが、人手不足が悩みの種という。鈴木清吉社長(87)は「息子に継がせず辞める選択もある」と漏らす一方、「長年の職人文化を途絶えさせていいものか」と葛藤を語る。これまでシルバー人材センターを通じて従業員確保に努め、年間約3千個の製造に励んでいる。

 ■4月、静岡で販売会 
 茶箱装飾の専門業者「インテリア茶箱クラブ」(東京都)は、川根本町の「前田工房」から仕入れた茶箱を着物やカーテンなどの布で装飾し、「インテリア茶箱」として首都圏を中心に売り出している。同クラブのパイザー真澄代表取締役(58)が同工房の前身である「前田製函所」の高品質な茶箱にほれ込み、約20年前から展開している事業。4月8~14日には静岡市の静岡伊勢丹でインテリア茶箱の販売会を開く。和洋の布を張った1キロ~60キロまでのさまざまなサイズの商品を販売する。

 <メモ>茶箱 起源は江戸時代とされ、昭和40年代ごろまでは海外への輸出用としても需要が高く全国各地に製造所があった。県内でもピーク時は50軒以上が稼働し組合も存在したが、段ボールの普及などで需要が激減。現在は川根本町と掛川、静岡、藤枝、島田市にそれぞれ1軒が残り、製造を続けている。

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