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松菱倒産、再開発…激動生き抜く 浜松・鍛冶町「くろかねや」

(2020/3/23 12:10)
包丁の状態を確認する3代目社長の斉藤さん=浜松市中区鍛冶町のくろかねや
包丁の状態を確認する3代目社長の斉藤さん=浜松市中区鍛冶町のくろかねや

 浜松市中心街の刃物販売店「くろかねや」(中区鍛冶町)が4月に創業80周年を迎える。家庭・業務用包丁を中心に取り扱い、大手量販店の進出や中心市街地の再開発に翻弄(ほんろう)されながらも、地域の食卓を支えた。3代目社長の斉藤賢吾さん(44)は「食事は生活に欠かせない。長く大切に使ってもらえる調理用具を届けたい」と語る。
 1940年に山梨県の金物店の従業員だった祖父の正三さんがのれん分けする形で浜松市内に開店し、初代社長に就いた。当初は刃物専門店だったが、戦後、ホームセンターの進出で競争が激化。鍋やカップなどキッチン用品全般に手を広げ、生き残りを図った。
 74年にはJR浜松駅前の松菱百貨店の増築に伴い、ビル1階に移転した。市内外からの買い物客でにぎわったものの、2001年に松菱が倒産。しばらくビルで営業を続け、再開発に合わせて近くのザザシティ浜松に仮店舗を置いた。斉藤さんは「松菱跡地に戻りたかったが、再開発計画は進まず。このまま転々とするのかと不安だった」と振り返る。
 苦しい時期を支えてくれた顧客に足を運んでもらうため、創業の地の鍛冶町にこだわり、約5年前に鍛冶町通り沿いの現在の店舗に落ち着いた。
 近年は原点に立ち返り、包丁の品ぞろえを充実させている。さまざまな長さの出刃包丁や左利き用など、店内に約150種類が並ぶ。各地の鍛冶職人を訪ね、顧客の要望を反映した店特製の包丁もある。
 包丁研ぎの修行も積んだ。斉藤さんは「祖父が売った包丁を今も持ってくる人がいる。先代が築いた店の看板を守り抜きたい」と思いを込めた。

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