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焼津のゴマサバ不漁 7~9月水揚げ、前年比わずか0.6%

(2019/11/7 17:01)
さば節の加工工場。小川港のゴマサバが手に入らないため他地域のものを使用している=10月下旬、焼津市
さば節の加工工場。小川港のゴマサバが手に入らないため他地域のものを使用している=10月下旬、焼津市
小川港のサバ船による水揚げ量の推移
小川港のサバ船による水揚げ量の推移

 焼津市の小川港で伝統のゴマサバ漁が極度の不振に陥り、県内有数のサバ産地が苦境に立たされている。県水産技術研究所(同市)によると、同港に所属するサバ船2隻の7~9月の水揚げは5・2トンで、前年同期(811トン)の0・6%。10月も厳しい状況が続いた。地元の仲買人と加工業者は「この状況が続けば廃業する業者も出てくる」と、危機感を強めている。
 ゴマサバは、大きいものは鮮魚として出荷され、ほかは、さば節や黒はんぺんなどに加工される。小川港では昔ながらの棒受け網漁とたもすくい漁が行われ、サバの食文化が地域に根付いている。
 「船が港に帰ってきても魚がまったくない。仕事にならない」。鮮魚を扱う仲買人の大島昭次郎さん(82)が語る。6月中旬から水揚げが落ち込み、9月はたった4キロだった。「これほどの不漁は50年やっていて初めて」。運送、道具などの業者が離れ、流通に支障が出るのではないかと心配する。
 水産加工業のマルテ小林商店は、多い時には月300~400トンのゴマサバをさば節に加工している。小川産が少ない今シーズンは伊東市や沼津市の市場から仕入れているが、輸送コストなどがかさむ。小林義信社長(77)は「地元のものを使うのが一番。この状況が続けば(扱う魚の)組み立てを変えるしかない」と話す。黒はんぺんの加工業者もこれまでの在庫を使いつつ、他産地のものを仕入れてしのいでいる。
 ゴマサバは全国的な不漁だが、小川港の状況の悪さは突出している。県水産技術研究所の担当者は資源量の減少に加え、黒潮の大蛇行や海水温の上昇など漁場周辺の環境変化が不漁の原因と分析、「今後、状況は少しずつ上向くはず」と指摘する。小川漁業協同組合は県に漁場調査を求めているとし、「小川港にとってゴマサバはなくてはならない魚。関係者が一丸となって苦境を乗り切りたい」(担当者)と話す。

 <メモ>ゴマサバ漁 主に棒受け網漁とまき網漁で行われる。棒受け網漁は、まき餌や集魚灯で魚を海の表層に集め、すくい上げる漁法。本県所属船の主な漁場は駿河湾と伊豆諸島周辺。主要水揚げ港は小川、沼津、静浦、伊東。小川港では、マサバと合わせたサバ全体の水揚げ量が全体の7割以上を占める。全国的にサバ専用の漁船は珍しく、本県では小川と伊東にある。日本周辺のゴマサバの資源量は2011年以降、減少傾向にあるとされる。一方、1990年代から2000年代に漁獲量が落ち込んだマサバは13年以降、資源量が回復傾向にある。

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