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高温に耐性、ミカン新品種 静岡県、22年度にも登録へ

(2019/5/15 17:25)
浮き皮が発生した青島(下)と新品種(静岡県果樹研究センター提供)
浮き皮が発生した青島(下)と新品種(静岡県果樹研究センター提供)
静岡県果樹研究センターが開発した温州ミカンの新品種=4月中旬、静岡市清水区
静岡県果樹研究センターが開発した温州ミカンの新品種=4月中旬、静岡市清水区

 静岡県農林技術研究所果樹研究センター(静岡市清水区)は、高温に耐性のある温州(うんしゅう)ミカンの新品種を開発した。生産現場を悩ませている「浮き皮」の症状が発生しにくく、ミカンが品薄になる3~4月に出荷ピークを迎えるため、農家の所得アップや労働力の分散にも寄与する。2022年度の品種登録を目指す。
 新品種は01年度から、理化学研究所と共同で研究を進めてきた。「糖度と酸のバランスに優れ、味が濃い」(同センター)のが特長だ。
 静岡県は全国有数のミカン産地。6割強を占める主力品種「青島」は市場で高い評価を受けている。ただ、近年は秋に雨が増えたり気温が高くなったりして、果皮と果肉が分離する「浮き皮」が目立つようになった。業界では地球温暖化の影響が指摘されている。
 新品種は浮き皮が発生しにくい上、収穫時期が青島より1カ月ほど遅い。常温貯蔵に向いているため、全国的に流通量が少ない3~4月に出荷できる。
 JA静岡経済連によると、18年産の県内ミカンの平均単価は2月が1キロ当たり317円だったが、3月は430円に跳ね上がった。担当者は「近年の温暖化で出荷時期は前倒しになっている。3~4月は市場ニーズも高い」と指摘する。春に高品質のミカンを供給できれば、他産地との差別化につながるとみる。
 19年度に品種登録を出願し、市場に出回るのは早くても26年度ごろになる見通し。同センター果樹生産技術科の中村茂和上席研究員は「ミカンの品種を育てるには20~30年という長い時間がかかるが、消費者のニーズに合ったものを開発していく必要がある」と普及に期待する。

 ■異常気象 警戒感強く
 ミカンは品質が天候条件に左右されやすく、県内の生産現場では異常気象への警戒感が広がっている。
 JA静岡経済連は本年度から、ミカンの品種探索事業に乗り出す。農家から突然変異した枝などを募り、有望品種かどうかを検証する。柑橘(かんきつ)果樹課は「産地を維持していくためにも温暖化に適応した品種育成は不可欠」と指摘する。
 ミカンは甘さや果実の形、実がなる時期が異なる枝が農家によって偶然発見されるケースがある。県果樹研究センターが今回開発した新品種は、青島系統のミカンの木に重イオンビームを照射して人為的に突然変異を起こし、選抜を重ねて育成にこぎ着けた。
 政府は2015年に閣議決定した気候変動適応計画で、将来予測される影響として「既存の主要産地が栽培適地ではなくなる可能性もある」と警鐘を鳴らす。全国各地ではパッションフルーツやライチなど南国系フルーツを育てる試みも始まっている。

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