熱海のバレエ若手・高橋さん 大学と両立「日本最高峰」目指す

 世界的なバレエダンサー熊川哲也さんが主宰するKバレエスクールで学ぶ熱海市の高橋芳鳳(もとたか)さん(18)=静岡聖光学院高3年=が今春、新たな挑戦に踏み出す。レッスンが過酷で進学をあきらめる人が多い中、大学で経済学を学びながら日本最高峰のダンサーを目指すという。新型コロナウイルス禍で舞台芸術の中止や延期が相次ぐ中、「社会と芸術をつなぎ、価値を高めたい」と意気込む。

自宅でバレエのトレーニングを重ねる高橋芳鳳さん=熱海市(本人提供)
自宅でバレエのトレーニングを重ねる高橋芳鳳さん=熱海市(本人提供)

 高橋さんは昨年4月、世界の若手ダンサーの登竜門「ユース・アメリカ・グランプリ」の日本代表として出場する予定だった。しかしコロナ感染拡大の影響で米ニューヨークの舞台に立つことができなかった。都内のスクールにも通えず、自宅でのオンラインレッスンや自主トレーニングが続いた。
 心の支えは、テレビやインターネットで見るトップダンサーの舞だった。「芸術やエンターテインメントの力を改めて実感した」。ただ、コロナ下のように社会や経済が不安定な時に「芸術の優先順位は低い。感染が収束しても、回復が一番遅い世界だと思う」と語る。こうした思いから、芸術の価値を高める経済の在り方を研究したいと大学進学を決意し、昨年末に指定校推薦で合格した。
 将来が有望視されるKバレエスクールの生徒の中でも高橋さんの実力はトップ級で、昨年11月に行われたスクールの発表会では主役の座を射止めた。今年1月の「NBA全国バレエコンクール」でも入賞を果たした。
 4月からは学生寮で生活しながらスクールで腕を磨く。将来は国内最高峰のバレエ団「Kバレエカンパニー」に入団し活躍するのが夢だという。「勉強との両立が並大抵ではないことは覚悟している。支えてくれた人に恩返しができるように頑張りたい」と決意を示した。

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