クロマハープ、魅力発信へ講座 浜松の愛好家が東海楽器製造と連携 

 「コロナ禍でも、心を癒やす優しい音色を気軽に楽しんで」。1960~70年代に一大ブームを巻き起こした楽器「クロマハープ」を再び普及させようと、浜松市の男性愛好家が入門者向けの演奏講座を小規模ながらスタートした。販売を担う東海楽器製造(同市南区)の全面協力で、ギターコードを押さえにくい人にも弾きやすい“簡単な楽器”の魅力を発信している。

置いても抱えても弾けるクロマハープを奏でる高須栄さん(左)。東海楽器製造の足立庄平社長(右から2人目)も音色に聴き入る=9月下旬、浜松市中区
置いても抱えても弾けるクロマハープを奏でる高須栄さん(左)。東海楽器製造の足立庄平社長(右から2人目)も音色に聴き入る=9月下旬、浜松市中区

 9月末、同市中区の西部協働センター。「指を見ず、コードを感覚で覚えればもっと楽に弾けますよ」。クロマハープ歴約10年の高須栄さん(73)=北区=が実演を交え、「キラキラ星」「さくらさくら」の弾き方を受講者2人に伝えた。
 全5回の3回目。中区の和田まち子さん(69)は「幼い頃は手が小さくてギターを諦めたけど、和音は分かる。初心者でもすぐに楽しめるのは魅力」と自慢の歌声も乗せて軽快に奏でた。元ピアノ職人、西区の山北敏明さん(74)も「落ち着いた音色が好き。コロナが収まれば大人数で弾きたい」と笑顔を見せた。
 静岡市内を中心に活動する静岡クロマハープ協会の指導を受け、魅了された高須さん。勤務先の浜名湖ガーデンパークで定期演奏してきた。コロナ禍で一時休んだが「習える場を尋ねてくる来園者は多かった。関心は高い」との確信から開講を決意。少人数制で感染対策を徹底し、14日の最終回での途中参加も歓迎する。
 販売を担う東海楽器によると、コロナ禍で、自宅で音量などを調整できる楽器特性から、弦やチューニングハンマーの発注が世界中から相次いだ。日本のアニメ音楽を演奏したいとフランス人からの楽器注文もあった。
 会員制交流サイト(SNS)で発信を続ける足立庄平社長(62)は「手頃な価格で、挑戦しやすい楽器を弾きたがっている人は多い」と捉え、潜在的需要の掘り起こし策を練る。

 <メモ>クロマハープ 弦は36本。左手でコード(和音)バーを押さえ、ピックを付けた右手ではじくとジャランと鳴る。新品価格は7万円前後からで、中古は1万円弱。原型は100年以上前に米国で誕生し、「オートハープ」の呼び名で教育楽器として普及した。日本では東海楽器製造が製造販売、輸出し、その後中止したが約3年前に販売を再開した。優しいアコースティックの音色や抱えて弾ける演奏スタイルが中高年の心を捉え、静岡市を中心に県内の活動は全国で最も盛んといわれる。

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