苦境の熱海芸妓、お座敷から外へ ウェブ出演、見学コース計画…

 新型コロナウイルス感染症の影響で苦境に立たされている熱海市の芸妓(げいぎ)衆が、新たな客層を開拓しようと奮闘している。「今までのやり方では生き残れない」―。そんな危機感の下、今まで「お座敷」に疎遠だった若者や女性を振り向かせようと、さまざまなアプローチを模索している。

新たな客層の掘り起こしに力を注ぐ芸妓衆。中央が小夏さん=18日、熱海市の熱海芸妓見番歌舞練場
新たな客層の掘り起こしに力を注ぐ芸妓衆。中央が小夏さん=18日、熱海市の熱海芸妓見番歌舞練場

 熱海芸妓置屋連合組合は今月、7カ月ぶりに舞踊の稽古を再開した。10月17日からは人気イベント「湯のまちをどり華の舞」も復活する。しかし、団体旅行や宴席の予約状況は依然として芳しくなく、芸妓衆の活躍の場が限られているのが実情だ。
 そんな中、若手芸妓の小夏さんは“主戦場”のお座敷から飛び出して新たな活動を展開している。大手化粧品メーカー、コーセーのウェブCMに出演し、同社の商品とともに「日本の美」を発信している。「芸妓を知らない世代に伝統文化や熱海の魅力を伝えるきっかけになれば。苦境の中でも頑張っていることも知ってほしい」と言葉に力を込める。
 小夏さんの思いに連動するように、芸妓衆は女性や若者が親しみやすい環境づくりを目指している。組合は、唄や踊りなどを稽古する熱海芸妓見番歌舞練場に観光客が気軽に立ち寄れるよう、見学コースや、インスタグラムなどに投稿できる撮影スポットを設ける計画だ。女性観光客の目を引きつけるグッズの販売も検討している。
 組合の広報を務める芸妓の豆一さんは「芸妓の所作や礼儀など残すべき文化はある。ただ、ウィズ・コロナ時代にそれを残していくためには、視点や発想を変えて挑戦していくことが大切」と語る。

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