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沼津にゆかり、江原素六題材の講談復活へ 26日都内で初披露

(2020/3/17 17:15)
江原素六を題材にした講談の復活を前に、地元の史跡を巡る田辺鶴遊さん(右)。「新型コロナウイルスの脅威に揺れる今、素六から学ぶところは多い」と語る=沼津市の江原素六先生記念公園
江原素六を題材にした講談の復活を前に、地元の史跡を巡る田辺鶴遊さん(右)。「新型コロナウイルスの脅威に揺れる今、素六から学ぶところは多い」と語る=沼津市の江原素六先生記念公園

 静岡市出身の講談師田辺鶴遊さん(41)が東京で26日に予定される講談会で、沼津市ゆかりの偉人江原素六(1842~1922年)を題材にした講談の復活に挑戦する。原作者は50年以上前に活躍した大師匠。田辺さんは自身のアレンジを加えるため今月、同市にある素六の足跡をたどった。「素六が生きた幕末から明治期はまさに国難の時代。新型コロナウイルスに揺れる私たちが素六から学ぶところは多い」と語る。
 素六は旧幕臣の教育者・政治家。牧畜や茶など沼津の経済の基礎を築いたといわれ、東京の有名私立校である麻布中も創設した。
 講談の原作者は、戦前から高度成長期にかけて活躍した12代目田辺南鶴(1895~1968年)。田辺さんにとっては師匠の師匠に当たる。南鶴が晩年に出版した講談集を読んで素六の人柄にほれ込んだという田辺さんは、「私利私欲がなく、地域発展のために尽くした人物。静岡出身者の一人として誇りに感じた」と、講談復活に取り組む動機を明かした。
 今月1日には沼津市を訪れ、地元顕彰会の土屋新一会長らの案内で、素六の銅像がある江原素六先生記念公園や墓所、沼津兵学校跡地などを巡った。「実際に史跡に足を運び、具体的なイメージが膨らんだ」と田辺さん。素六が生きた当時を「日本が近代化に突き進む過程で、多くの犠牲が払われた。不安定な時代という意味では、新型コロナウイルスに生活基盤が脅かされる現代と似ている」と語る。だからこそ、苦難に立ち向かい続けた素六の生涯は励みになるという。
 東京上野の広小路亭で26日に開かれる講談会で初披露する。田辺さんは「素六の講談はいつか、地元でも行いたい。郷土の偉人を後世に伝えることができれば」と期待する。

 <メモ>江原素六 幕府御家人の貧しい家庭に生まれた。戊辰戦争で幕府方として戦った後、沼津に移住。沼津兵学校や国内最初の近代的小学校とされる代戯館(現沼津市立第一小)、沼津中学校(現沼津東高)、駿東高等女学校(現沼津西高)などの設立に尽力した。失業した旧幕臣らの救済のため、牧畜や茶の輸出などを推進。国有化された愛鷹山の払い下げに貢献し、東京の有名私立校である麻布中学も創設した。自由民権運動に携わり静岡県議会議員、衆議院議員、貴族院議員を歴任。熱心なキリスト教信者で、東京キリスト教青年会(東京YMCA)理事長も務めた。

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