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「伊豆の踊子」文庫人気 中国人客が購入 修善寺、海外PRに力

(2019/8/14 17:00)
売り上げが伸びている「伊豆の踊子」。隣に、中国人に人気の山口百恵さんの自叙伝「蒼い時」を置いている=7月下旬、伊豆市の長倉書店
売り上げが伸びている「伊豆の踊子」。隣に、中国人に人気の山口百恵さんの自叙伝「蒼い時」を置いている=7月下旬、伊豆市の長倉書店

 伊豆市修善寺地区の長倉書店で川端康成の小説「伊豆の踊子」の販売数が伸び、関係者を驚かせている。川端作品の愛読者が多い中国人観光客が購入していくという。地元観光関係者はこの現象を商機に生かそうと、当地を海外にPRする模索を始めた。
 長倉一正代表によると、2、3年ほど前から店を訪れる中国人が増加し、「伊豆の踊子」の年間販売数は100冊を超えるようになった。土産用に買い求めるケースが目立つという。ノーベル文学賞を受賞した川端の作品は中国で高い認知度があり、中でも「伊豆の踊子」は同国で絶大な人気を誇った山口百恵さんの主演映画としても知られている。長倉代表は「うちのような小さな店で特定の文庫がこれほど売れることはない」と話し、山口さんの自叙伝を川端作品の隣に並べる工夫も始めた。店内の多言語表記も検討している。
 この“異変”に、観光関係者は「見逃す手はない」と息巻く。同市観光協会は、小説の舞台を巡るハイキングコース「踊子歩道」などを含めた観光プランを練る。中国人に伊豆地域の多彩な魅力を知ってもらうために、春節時期に咲く土肥桜の情報発信にも力を入れる方針だ。
 もとより修善寺地区を含めた伊豆地域は、東京五輪の開催を控えて追い風が吹いている。修善寺温泉旅館協同組合によると、2018年度に組合指定の旅館など8施設に宿泊した中国人は、10年前の100倍の約3万4千人。同市観光協会の藤原正美事務局長は「温泉場の活性化につなげるにはリピーターや長期滞在者の取り込みが欠かせない。外国人目線の観光コンテンツを用意していく」と話した。

 <メモ>伊豆の踊子 1926年発表の川端康成の短編小説。伊豆へ一人旅に出た青年が、修善寺や湯ケ島、天城峠を訪ね、道連れになった旅芸人一座の踊り子に淡い恋心を抱く物語。川端が伊豆を旅した際の実体験が基になっている。文庫本や単行本は複数社から出版され、6回映画化された。

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