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2020年9月12日【大自在】 ※紙面イメージも特別掲載

(2020/9/12 08:30)

 縦読みという遊びがある。文や段落の頭文字などを拾うと仕込まれた主張が浮かび上がる。縦でなく横や斜めに読むこともあり、いつの時代も強い印象を伝える。
 雨傘運動が起こった2014年以降、高度な自治を掲げたはずの香港で人権や自由などの弾圧が続く。8月には、中国に批判的な蘋果日報の創業者が当局に拘束されるやいなや同紙は抗議の記事と広告で埋まった。中でも56字からなる漢詩に斜め読みが使われた。
 抵抗運動に誇りを込めて埋め込まれたのは「黎智英周庭無懼」の7文字。代わりのいない創業者と勇敢な活動家それぞれの名前を挙げて訴えた。「黎智英と周庭は恐れない」と。
「いろは歌」には作者が自らの心境を込めた説がある。真偽は知る由もないが、7文字ごと改行し、それぞれの行の最後の文字を並べると、隠されていた「とが(咎)なくて死す」なる一文が認められる。自らが受けた理不尽なぬれぎぬに対する怒りか怨念か。
 白人至上主義者と闘うそぶりがなかったトランプ米大統領にうんざりして17年8月に抗議の辞任をし、全米の話題を呼んだのは当時国務省に属していた科学特使。辞表に縦読みで潜ませたのは「IMPEACH(弾劾せよ)」―。人々に強い共感を与えた。
 権力者への反発を示す以外に、照れ隠しにもいい。期待に応えて伝わるかは相手次第だが、日頃の支援に感謝し、大切な人に普段言いづらい隠しメッセージを贈ってみてはいかが。いつまでも気付かれず、実は―と自分から説明するのは情けないのでくれぐれもご注意を。
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