
「ラーニング=学習」と「バケーション=休暇」を合わせた言葉「ラーケーション」。こどもたちが保護者や家族と一緒に、学校外で多様な体験活動や探究ができる制度として、注目されています。6月28日、ラーケーションをもっと知ってもらおうと「ラーケーション推進セミナー」が開催されました。第1部は「静岡ではどれくらい進んでいる?」「レジャーとの線引きは?」そんな疑問に答えるための座談会。第2部ではタレントのパックンことパトリック・ハーランさんが登場。150人が参加したセミナーの様子をお伝えします。
左から静岡県教育委員会 高校教育課指導監 貝瀬佳章さん、磐田市教育委員会 学校教育課長 土屋雅士さん、ラーケーションを実践した保護者 古川武志さん
第1部 やってみてわかった!こどもの「主体性」が育つ瞬間
第1部の座談会は、行政、学校、保護者の立場から3人が登壇。司会のアナウンサー・重長智子さんの「わが家ならどう生かせるか、親子で話すきっかけにしてもらう時間に」という言葉で始まりました。まずはラーケーションを取る流れを、静岡県教育委員会の貝瀬佳章さんが説明しました。
ラーケーション取得の流れ
・こどもが主体となって、家族で活動計画を作る・学校に申請書を提出
・家庭で平日にラーケーションを実施
・振り返りをして、学校に報告書を提出
事前に学校へ申請・後日レポートを提出することで、欠席扱いにならない仕組みです。県から学校に対して、ラーケーションへの理解を進めるために伝えているポイントは次の4点。
1.自然との触れ合いや、芸術に接するなどの多様な体験をする中で、普段とは異なる環境で経験や学びを得てほしい
2.自分の興味、関心に応じて、授業の内容を広げたり深めたりすることで、学校の授業や探究的な学びにつながる
3.自ら考え、自覚し、実行できることから、主体性や自主性を育むことにつながる
4.家族とこどもが一緒に過ごせる充実した時間を生み出す。同時に保護者のワークライフバランスを充実させる
■ラーケーションについて知ろう!(静岡県教育委員会YouTube)
令和6年度からラーケーションを導入し、県内でもいち早く定着させているのが磐田市です。ラーケーションを、家族で探究学習を行う日「いえたん磐田」と名付けて取り組みを進め、1年目には20件だった申請数が、2年目には320件に増加しました。
磐田市教育委員会の土屋雅士さんは、対象学区の拡大や、電子申請の導入、報告書の簡素化など、工夫を凝らした経緯を「親子や教員の負担を減らしながら、体験、親子の対話の質を上げてきた」と話します。

「保護者からは『家族と一緒に過ごす時間が増えた』『今までの旅行や遊びが、事前に視点・目的を持っていくことで学びの要素が加わった』という声もいただきました。立派なレポートを書くことより、出発前に親子で何をしたいか話し合ったり、帰宅後に思い出を語り合ったりするプロセスそのものが、こどもたちの主体性を育むと気付きました」(土屋さん)
次に、保護者の一人として、古川武志さんがラーケーションの経験を語りました。当時中学3年生だった息子さんの「修学旅行で行けなかったところに行ってみたい」という思いを受け、ラーケーションを使って家族で京都を訪問。平等院鳳凰堂ではボランティアガイドによるツアーにも申し込み、歴史を詳しく教えてもらったそう。「息子はガイドさんの話に耳を傾け、熱心にメモを取っていました。興味を持っていることが伝わってきました」(古川さん)
続いて質問タイム。事前に寄せられた質問の中で、もっとも多かったのが「遊びと学びの境界線は?」でした。
貝瀬さんは「この施設だからダメ、その目的だと通さないといった線引きはなく、こどもの学びを深めたいという主体性があれば、同じ場所に行っても違うものが得られるのでは」と指摘します。例えば、法律に興味を持って平日に刑事裁判を傍聴、祖父母の家での昔ながらのお盆の体験、単身赴任の父親と進路について話し合う時間なども、立派なラーケーションに。
土屋さんも「磐田市の基準は場所ではなく、こども自身の計画や目的意識、家族の対話など、学びの視点があるかどうか」と話します。「テーマパークにしても、事前に『なぜこんなに多くの人に愛されるのか、接客の工夫を探る』というテーマを立て、そういう視点で見て回れば、そこに学びがあるのでは」(土屋さん)

「遠くに足を運ぶだけでなく、家族との時間を大切にしたり、お金をかけなくても主体性を持って学びたいと思えば、ラーケーションの一つになるのかも」(重長さん)
最後に、これから静岡のラーケーションはどうなるのか、わが家でどんなことをすればいいのかについて触れました。
「本年の10月をめどに、すべての県立学校で導入できるよう準備を進めています。磐田市をはじめ、これまでの実績や効果を、各市町の教育委員会に啓発しながら広げていきたい」(貝瀬さん)
7月1日現在、静岡県35市町のうち8つの市町(浜松市、静岡市、磐田市、裾野市、掛川市、小山町、西伊豆町、東伊豆町)で導入されていますが、今後少しずつ拡大されていくとのこと。
土屋さんはラーケーションを「学びのハンドルをこどもに渡す練習の場では」といいます。
「わが家でできる第一歩は、日頃の会話の中で、何に興味があるのか、お子さんの好奇心に耳を傾けることではないでしょうか。保護者の皆さんは正解を導くのではなく、隣で一緒に面白がりながら、学びの伴走者になっていただければ」
磐田市では、ラーケーション取得後に学校で、こどもたちが友達に伝えたいと前向きになったり、自信や発言力につながったりする事例も見られるそう。
ラーケーションを経験した古川さんからは「こどものやりたいことを優先する、何でもやってみることが大事では」としつつ「土日は観光地が混雑するので、平日にゆっくり見たい。ラーニング=学びにフォーカスしがちですが、バケーションとして利用する意味もあるかも」と保護者の立場からの本音も。

「有給休暇と同じで、休みを取ってもいい制度だと認識してます。個人的には、平日休みが取れたら、工場見学などにも行ってみたい。難しく考えず、入り口として試してみてほしい」
第2部 ここからはじめる~こどもの好奇心を引き出す、コミュニケーションのコツ~

第2部は、テレビなどでもおなじみ、パックンことパトリック・ハーランさんが登場。パックン自身のこどもの頃の経験や日本とアメリカの教育の違い、2児の父としてこどもと接する時に心がけていること、失敗したことなど、ユーモアを交えてトークを繰り広げました。
ラーケーションについて「主体性を育み、こどもの興味を引き出し、興味を満たす作業や瞬間を与える。これは素晴らしいことだけれど、バケーションにも重点を置きたいですね。仕事や学びという押し付けがましい感じじゃなくて、家族でやろう、やってみることで、こどもの教育はもちろん、親のワークライフバランスを見直すきっかけになれば」(パックン)

また、こどものうちに覚えた体の動かし方や音楽、コミュニケーション、リーダーシップ、辛い体験をした時の持ち直し方、友達の励まし方など、授業以外で学ぶことも多いことに触れ、「バケーションみたいに、どこかに行って楽しむだけでも十分だと思う。そこに家族が参加するということは、親のラーケーションにもつながる。そこに僕は一番期待したいんです」
最後に「とにかく親が生き生きしている姿をこどもに見せて。そうすればこどもも生き生きしてきます」と元気の出るメッセージで締めくくりました。
イベント当日は触って楽しめる企業ブースも出展
イベント当日は触って楽しめる企業ブースも出展。来場したこども達は、家族と一緒に学外の学びにふれる体験をしました。教育コンテンツを通じて企業も地域のこども達を支援する取り組みを推進しています。
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こどもが興味をもつことを、親も一緒に楽しんでみる、探してみることが、ラーケーションの第一歩。まずは今日のだんらんの話題に取り上げてみてはいかがでしょうか。関連記事:こどもの好奇心を広げる「ラーケーション」 平日の校外体験で静岡の学校・家庭・職場はどう変わる?【PR】>>









