【「第8回熱海未来音楽祭 2026」プロデューサー巻上公一さんインタビュー〈下〉】9月27日は町田康さんが1980年前後の音楽シーンを語る。最終演目は坂田明さん登場

音楽家で詩人の巻上公一さん(熱海市)がプロデュースする、「即興」をキーワードにした音楽とパフォーミングアーツの祭典「第8回熱海未来音楽祭 2026」が9月26~27日、熱海市各所を会場に開かれる。今年注目の演目や出演者について、巻上さんに聞いた。全2回の第2回は27日のプログラムがテーマ。
(聞き手=高度専門記者兼論説委員・橋爪充)
 

9月27日に出演する「巻上公一と熱海サンビーチ」。(左から)サム・ベネットさん、坂口光央さん、巻上さん

――2日目は長峰麻貴さんの衣装づくりのワークショップ、その後にアートパレードが予定されています。「打音は海峡を越え、大陸を越え」と題したライブには巻上さん、ヒカシューの纐纈之雅代さん(サックス)と韓国、オランダが拠点のソン・ミホンさんが共演しますね。ソンさんはどんな方ですか。

アムステルダムの知り合いから推薦され、去年この3人で新宿ピットインで演奏しました。ソンさん、素晴らしいアーティストなんです。また来るというので、今回は熱海未来音楽祭でも演奏することにしました。

――どんなドラマーでしょうか。

作曲家でもあるので、(フレーズの)組み立てが秀逸ですね。音色の選び方も素晴らしい。

熱海市在住の町田康さん。巻上さんと1980年前後の音楽シーンについて語り合う

――この日は作家、音楽家の町田康さんとの「パンク/ニューウェーブ妄想史」トークもあります。

今年、「ストリート・キングダム 自分の音を鳴らせ。」という映画が公開されましたね。それで、先日スターリンのドラムだったイヌイジュン君のイベントがあって、ちょっと喋ってきたんです。1970年代後半から1980年代前半あたりまで、町田康が何を聞いて何をしてきたか。僕も含めてそんな話をします。

――イヌイさんのイベントでは映画にも出てくる6日間連続ライブの話などもあったのでしょうか。(町田さんが所属したバンド)INUは出演していなかったかもしれませんが。

新宿ロフトでの「DRIVE to 80s」ですね。INUは出ていないと思います。大阪が本拠のINUは当時、SSやアーント・サリーと一緒に東京に出てきてライブをやって帰っていく感じだったと思います。

――今回も1970年代後半から 80年代前半ぐらいの東京のアンダーグラウンドシーンの話が聞けそうですね。その後のライブには坂田明さんが出るんですね。

2023年のプレイベントに「ミジンコ博士」として出ていますが、実質的には熱海未来音楽祭初出演です。オープニングアクトとして「巻上公一と熱海サンビーチ」が出ます。

――サム・ベネットさん(ボーカル、パーカッション)と坂口光央さん(シンセサイザー)と巻上さんのユニットですね。この名義は一昨年ぐらいからでしたか。

しりあがり寿さんの新宿ロフトのイベントに出る時に、どんな名前にしようかなと思って。誰が出るか決めずに、名前だけ先に作ったんです。

――何回かライブをやっていますが、手ごたえはいかがですか。

すごくやりやすい。何も考えなくてもできる3人ですね。永遠にできる。いくらでもできる。せっかく名前をつけたので、熱海未来音楽祭には「お抱えバンド」として出なくちゃと思っています。

熱海未来音楽祭のメインプログラムには初登場の坂田明さん

――後半は坂田さん、巻上さんにヒカシューの佐藤正治さん(ドラムス)さんを加えたトリオ演奏になるのですね。巻上さんはJAZZ ART せんがわでは坂田さんと何度も共演しています。同じステージにいて、坂田さんのサックスはどんな風に聞こえているのでしょう。

音色を含めて「坂田節」ですね。管楽器は音色に個人差があるんですが、坂田さんにしか出せない音を出している。坂田さんがいたから山下洋輔トリオはヨーロッパで成功したんじゃないかと思います。今も毎年ヨーロッパツアーをしているんです。人気があるんですね。

――今年の熱海未来音楽祭、全体を眺めてみると 2日間それぞれに色がありますね。

豪華でしょ。ここでしか聞けない演奏ばかり。フェスティバルだからできる音楽というものがある。それを生かした構成にしています。全部スペシャルな感じですね。

<DATA>
■ 第8回熱海未来音楽祭
※主な演目
▼9月26日(土)
ムックリワークショップ
時間:午前11時~正午
会場:起雲閣音楽サロン
講師:郷右近富貴子、床絵美

ライブ「口琴の響く日①」
時間:午後1時~午後2時
会場:起雲閣音楽サロン
出演: ムックリデュオ〈Kapiw&Apappo〉郷右近(ごうこん)富貴子、床(とこ)絵美(アイヌムックリ奏者)+巻上公一(声)

ライブ「ノマドダンスフェス/Nomad Dance Fest」
時間:午後3時~午後4時半
集合場所:EOMO store(集合時間等はメールで連絡) 
出演:多田葉子(sax)、アナーキー吉田(ドラマー)、四家卯大(チェロ)、梶原未由(ダンス)、横山彰乃(ダンス)、亞弥(ダンス)

ライブ「口琴の響く日②」
時間:午後5時~午後6時
会場:EOMO store 
出演:口琴とパーカッションのユニット〈蜂と瓜〉=ハチスヒロミ(口琴)、織本卓(パーカッション)

ライブ「南インドの古典劇   目と手と声の神話」
時間:午後7時~午後8時
会場:起雲閣音楽サロン 
出演:入野智江ターラ
演奏:足本みよ子(ミラーヴ)、岩田豊美(ミラーヴ)、畑板智保(ターラム)

▼9月27日(日)
※主な演目
舞台美術ワークショップ「〈謎の舟盛り〉」
時間:午前10時~午前11時
会場:Eomo storeアトリエ   
講師:長峰麻貴(舞台美術家)

熱海未来音楽祭アートパレード
時間:午前11時15分~正午
場所:EOMO storeからサンビーチまで  
出演:多田葉子、佐藤正治ほか

「顔は語る。ナンギャールクートゥ〈表情のワークショップ〉」
時間:午後1時~午後2時
会場:起雲閣和室 
講師:入野智江ターラ

ライブ「打音は海峡を越え、大陸を越え」
時間:午後2時半~午後3時半
会場:起雲閣音楽サロン   
出演:Sun Mi Hong(ドラムス/韓国・オランダ)、纐纈之雅代(サックス)、巻上公一(声、テルミン他)

トーク「町田康×巻上公一『パンク/ニューウェーブ妄想史』」
時間:午後3時50分~午後4時40分  
会場:起雲閣音楽サロン
出演:町田康(作家・音楽家)、巻上公一(音楽家)

ライブ「ジャズ祭文 ― 即興無双 坂田明(sax)ライブ」
時間:午後6時~午後7時30分  
会場:起雲閣音楽サロン
出演:坂田明(サックス)、佐藤正治(ドラムス)、巻上公一(声、テルミン他)
オープニングアクト〈巻上公一と熱海サンビーチ〉=巻上公一(ボイス、テルミンほか)、坂口光央(シンセサイザー)、Samm Bennett/サム・ベネット(from USA/ボーカル、パーカッション)

■チケット料金など詳細は公式サイト(http://www.makigami.com/atamimirai.html#schedule)を参照。参加申し込み、問い合わせは電話(080-5447-5151)、メール(makigamioffice@gmail.com)

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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