【副首都構想関連法案】そもそも「副首都」って?どんな道府県が対象?実現可能性は?

「副首都」構想関連法案が参議院本会議で可決成立しました。この法案の内容や今後の展開について、法政大学大学院教授白鳥浩さんに解説していただきました。聞き手はSBSアナウンサー青木隆太。

青木:副首都構想関連法案は、2票差での成立ということになりました。まずはこの差をどう見ていますか。

白鳥:2票というのは、あと1票で同数になっちゃうわけですよね。こうした重要な法案が、これほど僅差で成立するというのはやっぱり問題があるんじゃないかと思います。国会の中で必ずしも議論が尽くされたということになっていないのではないかと考えます。

大都市災害時の​首都機能のバックアップ

青木:そもそも、「副首都」って何ですか。

白鳥:首都の大規模災害時のバックアップを意図して道府県の指定を前提としたと、条文に書いてあります。

この副首都法の第1条に、「この法律は国民生活および国民経済に甚大な影響を及ぼす恐れがある大規模災害に備えて、福祉等の整備に関わる施策その他国家・社会機能の継続性が確保された国土の形成を図るための政策に関し定める​」​とあります。つまり、東京のバックアップを作ろうというのが意図です。

青木:「首都直下型地震」ってよく聞きますが、そうした災害が起きたときに首都の機能を失わないためにっていうようなことを意図しているということですね。条件もあるんですか。

白鳥:第1に、「東京と同時に被災しない地域であること」というのがあります。つまり、大規模災害が発生して東京圏で首都中枢機能が維持できなくなったときに、一定期間、首都機能を代替するようなところを道府県に指定するっていうふうに書いてあるんですね。

もう一つ、「一定の人口そして経済規模があること」ということが条文の中にあります。つまり、ちゃんと首都機能を代替できるような人口および経済規模があることを条件にしています。ここで「多極分散型経済圏」という言葉が出てきます。

青木:それは何ですか?

白鳥:東京だけに集中しないで分散して経済の役割を果たしていくところが必要だということですね。

青木:では副首都ができたとして、役割としては、首都機能の代替ということになるんですか。

白鳥:そうですね。まず考えられているのは政治・行政・司法といういわゆる三権分立の「三権」です。あと、経済というのがやっぱり重要になってきます。

青木:経済の代替っていうのが、いまいちイメージしきれないところがあります。本社が移転してくるといったことではないですよね?

白鳥:そうですね。例えば東京本社が被災したときに本社機能を代替できるような、大きな事業所のようなものを想定しているんじゃないかなと思います。

青木:なるほど。

副首都になるとメリットも多い?多くの道府県が名乗り出始めた

青木:法案成立ということになりましたが、今後、副首都は実現するんですか。

白鳥:法案を読み込むと、いろいろ重要なところは今後政令で決めるっていうことになっています。なので、必ずしも全て今決まっているということではないんですが、とりあえず、副首都はかなり実現する可能性が高いです。今多くの道府県が手を挙げ始めています。

青木:日本維新の会が副首都構想にかなり力を入れていたと思うんですが、この理由についてはどう思われますか。

白鳥:維新の会が高市政権に加わる連立合意をしているのですが、その中で維新の会は与党になるにあたって、2度住民投票で否決された「大阪都構想」をもう一度実現することを考えていたんじゃないかと思います。つまり、本来であれば違う話の「副首都構想」と、これまで2度否決されてきた維新の1丁目1番地と言ってもいい「大阪都構想」の場所を合わせて、「大阪都構想をこの副首都構想で実現させたい」という考えが多少見え隠れしないでもないという意見もあるわけです。

青木:今、副首都に立候補しているのは大阪や福岡、北海道、宮城辺りかなと思います。大阪以外も、副首都になり得るんですね。

白鳥:参議院でこの法案について議論されているときに附帯決議があり、「特定の道府県の指定を前提としない」と書かれているんですが、やっぱり普通に考えると、「これは大阪っていうのを念頭に置いている」というふうに思われることが多いですね。ただ、他の道府県にも副首都に指定される可能性はあります。

問題は、この大阪都構想で議論されていた「特別区を設置する」ということがあったり、「市町村の連携で」ということも今回は認められていたりすることです。およそ人口200万ぐらいっていうのを念頭に置いているのかなと思うところがあるのです。

青木:そうすると、静岡はどうですかね?

白鳥:周辺市町村を集めていけば、可能性はあります。公共事業のメリットなんかもあるでしょうし、税制優遇ということも言われていて、副首都になることに経済的にメリットがあるという理由から手を挙げているところもあります。ですから、静岡も今後手を挙げる可能性はゼロとは言い切れないと思いますね。

青木:今後、実際に副首都が指定されるまでどういう流れになりますか。

白鳥:まずは条件に合っているかを確認していく必要があると思います。東京都と同時被災しないか、国の出先の機関がどれぐらいあるのか、人口・経済の集積状況、道府県とその地域の連携がうまく行っているかーなどを見ながら、指定要件を満たす地域を含んでいる都道府県の議会が決議して、指定を申請していきます。

青木:スピード感的にはどう思われますか。

白鳥:来年の統一地方選で、維新は同日その住民投票をやりたいという話もあり、そうなってくるとかなりスピードが早いんじゃないかと思います。1年ちょっとぐらいで、ある程度のものは見えてくる可能性があると思います。

青木:わかりました。白鳥さん、ありがとうございました。
※2026年7月30日にSBSラジオIPPOで放送したものを編集しています。

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