静岡市の庵原川に生息する絶滅危惧種“ニホンウナギ”「ふるさとのウナギを守りたい」【いはらの川再生PJ会/静岡市清水区】

数千キロを旅するニホンウナギ


静岡市清水区を流れる庵原川に、ニホンウナギが生息していることをご存知ですか?ウナギは川や湖などの淡水域で過ごし、西マリアナ海嶺南端部の海域で産卵します。稚魚のシラスウナギは成長すると黄色みがかった「黄ウナギ」になり、川で5~15年ほど過ごします。その後、産卵期に体が黒く、金属光沢のある「銀ウナギ」へと変化し海へ移動します。日本の食文化に根付くウナギですが、2014年に国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで「絶滅危惧ⅠB類(近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高い)」に指定されました。ウナギは清水に暮らす人にとって、実は身近な絶滅危惧種なのです。「ふるさとのウナギを救いたい」と2017年に結成されたのが有志団体「いはらの川再生PJ会」です。

代表の伏見さん。

代表を務めるのは、土木資材会社「フタバコーケン」(清水区港町)に勤める伏見直基さんです。伏見さんは2013年、自社事業としてウナギ産地の鹿児島県で大手建設会社、大学と共同でウナギのすみかとなる「石倉カゴ」を開発しました。

ウナギのすみか「石倉カゴ」

石倉カゴは、樹脂製ネットのカゴの中に詰めた石の隙間や竹筒の中にウナギや餌となる生き物が入り込み、ウナギがすみつく仕組みです。

石倉カゴは、伝統漁法の「石倉漁」と伝統土木工法の「蛇カゴ」の長所を組み合わせて造られています。

ウナギ減少の一因は、成長期を過ごす河川環境の悪化です。かつては石積護岸の石の隙間や、土・草の豊かな水路や田んぼに、ウナギやその餌となるエビ・カニなどが多く生息していました。しかし、コンクリートによる河川・排水路などの人工護岸化が進み、すみかが減少しました。そこで、減少したすみかを増やすために考案されたのが石倉カゴです。2017年、庵原川の河川維持修繕工事に合わせ、伏見さんは行政と連携して石倉カゴを設置しました(現在、3ヵ所に設置)。その後、生息調査を行うために、伏見さんは消防団の仲間や地元住民に声をかけて同会を結成。東海大学の学生も協力し、年5回ほどカゴを引き上げて生息状況を確認。採捕したウナギにはICチップを取り付け、追跡調査を重ねています。2025年までに延べ約900匹を採捕し、そのうち延べ約600匹にICチップを装着しました。

7月12日、清水区の袖師地区河口で行われたモニタリング調査で採捕されたニホンウナギ。

「年々、ウナギが確認できる数が増えている」と話す伏見さん。採捕されたウナギの3割が再捕獲された個体で、庵原川への定着が進んでいます。しかし、10年間の道のりは、決して順風満帆ではありませんでした。過去には、石倉カゴの破壊や、庵原川で数千匹もの魚類が犠牲となる大量死も発生しました。伏見さんは「活動への理解が深まってほしい」と訴えます。豊かな川を次世代へ受け継ぐため、地元の子どもたちにウナギや川の大切さを伝えています。「清水のほかの川でも取り組みが広がったらうれしい」と、地域全体への普及に期待を込めます。

活動には近隣の子どもたちも参加し、「川に入って生き物を探すのはすごく楽しい」と笑顔を見せました。

※シミズ毎日2026年8月23日号掲載記事を一部編集し掲載しています。

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