「安心」と「誇り」 AIが読み解いた提言
第1部の報告会では、同センターの山崎一幸理事が登壇し、今年6月までに寄せられた1000件の投稿をAIで多角的に分析した結果を発表した。山崎理事は、サイト開設の原点として、同センターが中小企業の経営支援を行ってきた20年間で、同市の人口減少が深刻化したことに触れ、「行政や企業だけでなく、市民やNPOがそれぞれの立場から知恵を出し合う場が必要だ」と語った。投稿のAI分析を進めると、行政への苦情や不満を記した投稿の多くには「こうすればもっと良くなる」という具体的な改善案が添えられていることが分かった。山崎理事は「1000という数字は単なる件数ではなく、市民が時間を使って街の未来を考えた軌跡。これは要望集ではなく、行政に託された『1000通の提案書』だ」と強調した。
「だもんで静岡」の取り組みを紹介する山崎理事
さらに、投稿を「道路・交通」「子育て・教育」など7つのテーマに分類。AIによって、各テーマは「安心」「地域への誇り」といった共通の価値観で結びついていることを可視化した。山崎理事は「例えば、最も多い道路への要望も、本質は『道路整備』ではなく『安心な移動環境』の追求であり、それは子育てや高齢者福祉とも密接につながっている」と指摘。「安全な移動のブランド化」や「部署横断での子育て環境整備」など5つの提言を行い、「市民は行政に要求する側ではなく、共に街をつくる『仲間』。だもんで静岡は、信頼関係を深めながら未来を共に考える共創のプラットフォームへ成長できる」とサイトの意義を訴えた。
「だもんで静岡」トップページ
「住みたい街」へ 若者と市長が熱く対話
第2部では、「若者が静岡市に住み続けたくなる街づくりコンテスト」で優秀賞に輝いた学生らと難波市長によるディスカッションが行われた。中学・高校・大学生・教員が、既成概念にとらわれない柔軟な視点から「だもんで静岡」の意義を体現する独創的な提案を直接市長にぶつけた。静岡サレジオ高校3年の小林志乃さんは「シャッター街の活性化」をテーマに、清水駅前銀座商店街を昭和・平成・令和の異なる時代のレトロな雰囲気を楽しめる「時代通り」にするアイデアを提案。「若者の間で『エモい』昭和レトロや純喫茶が流行している。通り自体が広く魅力的なのに、閉まっている店舗が多いのはもったいない」と、若者の最新トレンドを活かした体験型テーマパーク化を訴えた。
難波市長は「テーマ性を明確にすることで集客力は格段に上がる。中高生の若い感性による提案は、商店街の店主たちにとって何よりの大きな刺激と元気を与える」と共感を示した。

静岡サレジオ中学校1年の山本洸之介さんは、公共の空き地や屋上などを活用し、オーガニック栽培を通じて多世代が自然と関わる「エディブルガーデン(食べられる庭)」の設置を提案した。山本さんは「自身が重度のアレルギーで食に苦労した経験から、身近に食や自然に触れ合えるコミュニティが欲しいと考えた。公共空間を試験活用する際のルール上の壁は何か」と鋭い質問を投げかけた。
難波市長は「基本的には市の施設でも期間限定であれば貸し出すことは可能で、壁はない。これからの人口減少時代に急増する空き地や空き家をどう有効活用するかという大きな社会課題に対し、非常に示唆に富むアイデアだ」と答え、中学生の思考力に驚きと大きな期待を寄せた。
さらに、静岡大学4年の松岡大輝さんは、若者の視点から市の情報発信のあり方に切り込み、「市長によるポッドキャスト配信」を提案した。「市の取り組みの結果だけでなく、住民と行政がどう議論し、どのようなストーリーを経て結論に至ったのか。若者が毎日耳にしている音声メディアを通じてその『プロセス』を届ければ、市民が街の動きに自然と興味を持つきっかけになる」と論理的に説いた。
難波市長は「情報発信の難しさを日々実感している。定例記者会見はメディア向けであり、ショート動画も十分には届いていない。学生と1対1で対話する音声配信など、ぜひ『だもんで静岡』と相談しながら前向きに検討したい」と約束した。

ディスカッションを終え、若者たちのアイデアの実現可能性の高さと街を良くしたいという主体的な姿勢に、会場からは温かい拍手が送られた。
難波市長基調講演・懇親会
「誇れる静岡を共創で」市長講演
第3部の基調講演で、難波市長は「明るい未来を共に創っていくために」をテーマに熱く語った。同市の人口減少率が全国20の政令指定都市の中で突出して高いという厳しい現実に触れ、「温暖な気候や美しい自然、温かい人の心など素晴らしい宝があるにもかかわらず、大学卒業後に若者がワクワクするような就職先やオフィスの供給が不足していることが流出の最大の原因だ」と客観的なデータに基づき指摘した。
その上で、人口減少を克服する「稼ぐ力」の創出として、デジタルやエンタメ、サイバーセキュリティなどの先進企業の誘致を進めている事例を紹介した。さらに、東静岡地区のアリーナ整備や清水駅前再開発に触れ、「最も重要なのはハコモノの建設ではなく、『この街が変わりそうだ』という期待や投資、人々の心が動き出すこと。そして街全体が『面』として繋がり、歩いて楽しいウォーカブルな街へと再生することだ」と強調。最後に、「一人ひとりの力は小さくても、共鳴と共感、協働によって新しい価値は生まれる。市民の温かい心と知恵を集め、共に汗をかいて世界に誇れる温かい社会を創り上げよう」と呼びかけ、熱い決意を示した。
参加者による懇親会も開催された。提言や発表を行った中・高校生や大学生の若者たちや市民、同センター関係者らが難波市長らと直接対話し、静岡市の理想的な未来像について意見や共感を深め合った。

■ウェブサイト「だもんで静岡」











































































