【「2026年しずおか連詩の会」参加詩人発表】27回目の「連詩の宴」。歌人大森静佳さん、詩人・小説家の向坂くじらさんが初参加

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は静岡市駿河区のグランシップで11月8日に発表会が行われる「2026年しずおか連詩の会」を題材に。
(文=高度専門記者兼論説委員・橋爪充)

毎秋恒例の「しずおか連詩の会」。1999年に三島市出身の詩人大岡信さんが日独の詩人4人と共に始めた「連詩の宴」は連綿と続いてきた。大岡さんと俳人長谷川櫂さんの講演を行った2004年以外は、年ごとに全40詩からなる(2016年は全32詩)の連詩を完成させた。

連詩として数えるなら、これまでに26編が巻かれたことになる。1999年の「『闇にひそむ光』の巻」の第1詩を担当した詩人谷川俊太郎さんから、2025年の「『野の地図の透明な縁』の巻」の第40詩を書いた小説家星野智幸さんまで、時代を象徴する多彩な顔ぶれによって言葉がリレーされてきた。

これは県民の財産である。

2026年の顔ぶれが発表になった。大岡さんの指名を受けて2009年からまとめ役を務める詩人野村喜和夫さん、過去に「しずおか連詩」を経験した詩人岡本啓さんと小説家古川日出男さん。初参加は歌人大森静佳さんと詩人・小説家の向坂くじらさん。

毎年の発表会の冒頭で野村さんは必ず多様性に言及する。今回も、いいあんばいだと思う。しずおか連詩では、毎年必ず定型からの逸脱を試みる人がいる。一方で、連詩としての体裁も整えなければならない。まとめ役、ジャッジを下す立場の野村さんはさぞやたいへんだろう。

筆者はとある落語家の話を思い出す。オーバーアクションの落語家について問われ「いいと思いますよ」と。ただ、ルールがある。「座布団に指一本かかっていたら落語。外れたらそれは落語じゃない」

2026年のしずおか連詩の顔ぶれや肩書を見ると、逸脱を試みそうな人ばかりだ。それはつまり、創作の活性への期待でもある。座布団から飛び出そうとする人の手をやんわり引く野村さんの姿が浮かぶ。
ことしの「宴」も盛り上がりそうだ。
 

2026年しずおか連詩の会参加者

野村 喜和夫さん(詩人)

詩集『特性のない陽のもとに』で歴程新鋭賞、『風の配分』で高見順賞、『ニューインスピレーション』現代詩花椿賞受賞など。評論『移動と律動と眩暈と』及び『萩原朔太郎』で鮎川信夫賞ほか著訳書多数。 「しずおか連詩の会」は20回目の参加。

岡本啓さん(詩人)

1983年生まれ。アメリカ滞在時の詩をまとめた第1詩集『グラフィティ』で2015年に中原中也賞、H氏賞。2017年、第2詩集『絶景ノート』で萩原朔太郎賞。2025年、第4詩集『ノックがあった』で小野十三郎賞。「しずおか連詩の会」は2019年以来、3回目の参加。

古川日出男さん(小説家)

1966年生まれ。『アラビアの夜の種族』『LOVE』『女たち三百人の裏切りの書』といった文学賞受賞作をはじめ、アニメ化された『平家物語』現代語全訳、『平家物語 犬王の巻』など著書多数。「しずおか連詩の会」は2018年以来、2回目の参加。  

大森静佳さん(歌人)

1989年生まれ。大学在学中の2010年に第56回角川短歌賞を受賞。歌集『てのひらを燃やす』で現代歌人協会賞など、『カミーユ』で日本一行詩大賞、近作では『ヘクタール』で第4回塚本邦雄賞を受賞。「新潮」で「うたと夢の出会う場所」連載中。「しずおか連詩の会」は初参加。

向坂くじらさん(詩人・小説家)

1994年生まれ。「国語教室ことぱ舎」代表。Gt.クマガイユウヤとのユニット「Anti-Trench」朗読担当。詩集『アイムホーム』『とても小さな理解のための』など。小説『いなくなくならなくならないで』『踊れ、愛より痛いほうへ』は、共に芥川賞候補。「しずおか連詩の会」は初参加。 (撮影/かくたみほ、写真提供/河出書房新社)

<DATA>
■2026年しずおか連詩の会
日時:11月8日(日)午後2時開演
会場:グランシップ(静岡市駿河区東静岡2-3-1)
入場料金:一般1500円、こども・学生1000円(28歳以下の学生)※全席自由
チケット発売日:8月2日
問い合わせ:グランシップチケットセンター(054-289-9000)

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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