​【浜松市美術館の「はまびの現代アート 中村宏展Ⅱ」】「中村宏展」の“アフターパーティー”。本人の作品解説が聞けるインタビュー動画が秀逸

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は浜松市中央区の浜松市美術館で6月20日に開幕した「いま、私は現代アートと出会う 草間彌生、奈良美智、村上隆、アンディ・ウォーホル、バンクシー…」展の関連館蔵品展「はまびの現代アート 中村宏展Ⅱ」を題材に。
(文・写真=高度専門記者兼論説委員・橋爪充)

中村宏『絵画連鎖・7』

浜松市美術館の企画展「いま、私は現代アートと出会う」展がにぎわいを見せている。いつも館蔵品展を行う1階奥の小展示室に足を運ぶ人も多い。実に喜ばしい。今回は浜松出身の画家・中村宏(1932~2026年)の特集展示だ。草間彌生や村上隆、バンクシーを目当てにやってきた人が、地元のアーティストの画業を知る機会となっている。

中村宏は今年1月8日、93歳で亡くなった。1月20日に静岡県立美術館で大規模回顧展が開幕する直前だった。同展の会期は3月20日までだったが、浜松市美術館の収蔵作品がいくつか出品されていた。県美の展覧会が終わった直後、浜美では「足立美術館展」の開催に合わせて「はまびの現代アート 中村宏展Ⅰ」と題した展覧会を行った。

現在行われている「中村宏展Ⅱ」は、その続編である。1月から続く中村顕彰の動きの一環だ。“パーティー”は続いている。主役がこの世にいないことだけが残念だ。

『門(4)』(左)と『黄色法則(5)』

展示室には、モノクロームの画面が不思議な奥行きを生む『門(4)』とその発展形で、白黒にあらがうように色彩豊かな黄色が流れ出す『黄色法則(5)』が並置されている。絵画と写真を不規則につなげた『絵画連鎖・7』は、本人の設計図どおりに展示する。作品を構成する8点の写真は所蔵するギャラリーから取り寄せた。

こうした作品について、本人が語る動画インタビューがいい。2025年6月2日とあるから、亡くなる7カ月ほど前だ。顔色も良く、話す内容も的確だ。今回の展示作品について、気取らない口調でざっくばらんに話している。

個人的に興味深かったのは、作品の完成とは何か、について語った場面だ。中村は、一度完成とした作品についても「どんどん改変していいと思うけどね」といった意味のことを言っている。本人が亡くなり、加筆の可能性がついえた今、膨大な作品群は真の意味で「完成」を迎えたのかもしれない。

<DATA>
■浜松市美術館「中村宏展Ⅱ」
住所:浜松市中央区松城町100-1
開館:午前9時半~午後5時
休館日:毎週月曜 
観覧料(当日):無料(同時開催の「いま、私は現代アートと出会う」展の入場料が必要)
会期:8月30日(日)まで

 

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

あなたにおすすめの記事

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1