(文・写真=高度専門記者兼論説委員・橋爪充)
中村宏『絵画連鎖・7』
浜松市美術館の企画展「いま、私は現代アートと出会う」展がにぎわいを見せている。いつも館蔵品展を行う1階奥の小展示室に足を運ぶ人も多い。実に喜ばしい。今回は浜松出身の画家・中村宏(1932~2026年)の特集展示だ。草間彌生や村上隆、バンクシーを目当てにやってきた人が、地元のアーティストの画業を知る機会となっている。中村宏は今年1月8日、93歳で亡くなった。1月20日に静岡県立美術館で大規模回顧展が開幕する直前だった。同展の会期は3月20日までだったが、浜松市美術館の収蔵作品がいくつか出品されていた。県美の展覧会が終わった直後、浜美では「足立美術館展」の開催に合わせて「はまびの現代アート 中村宏展Ⅰ」と題した展覧会を行った。
現在行われている「中村宏展Ⅱ」は、その続編である。1月から続く中村顕彰の動きの一環だ。“パーティー”は続いている。主役がこの世にいないことだけが残念だ。
『門(4)』(左)と『黄色法則(5)』
展示室には、モノクロームの画面が不思議な奥行きを生む『門(4)』とその発展形で、白黒にあらがうように色彩豊かな黄色が流れ出す『黄色法則(5)』が並置されている。絵画と写真を不規則につなげた『絵画連鎖・7』は、本人の設計図どおりに展示する。作品を構成する8点の写真は所蔵するギャラリーから取り寄せた。こうした作品について、本人が語る動画インタビューがいい。2025年6月2日とあるから、亡くなる7カ月ほど前だ。顔色も良く、話す内容も的確だ。今回の展示作品について、気取らない口調でざっくばらんに話している。
個人的に興味深かったのは、作品の完成とは何か、について語った場面だ。中村は、一度完成とした作品についても「どんどん改変していいと思うけどね」といった意味のことを言っている。本人が亡くなり、加筆の可能性がついえた今、膨大な作品群は真の意味で「完成」を迎えたのかもしれない。
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■浜松市美術館「中村宏展Ⅱ」
住所:浜松市中央区松城町100-1
開館:午前9時半~午後5時
休館日:毎週月曜
観覧料(当日):無料(同時開催の「いま、私は現代アートと出会う」展の入場料が必要)
会期:8月30日(日)まで











































































