【アーツカウンシルしずおかの「文化芸術による地域振興プログラム」キックオフ交流会】県内各地のアートプロジェクトの担い手が集合。年々鮮明になるアーツカウンシルの輪郭

静岡県のアートやカルチャーに関するコラム。今回は6月25日に静岡市駿河区のグランシップで行われた アーツカウンシルしずおか「文化芸術による地域振興プログラム」の2026年度参加団体を集めたキックオフ交流会を題材に。
(文と写真=高度専門記者兼論説委員・橋爪充)

6年目に入ったアーツカウンシルしずおかの「文化芸術による地域振興プログラム」の助成事業。東京五輪・パラリンピックの文化プログラムの推進委員会を土台に発足し、まちづくり、観光、福祉、教育、産業などさまざまな分野と文化芸術が協働する「アートプロジェクト」を支援する。

ことしは県内各地の26事業が採択された。毎年恒例のキックオフ企画は、採択団体の代表者が集まる交流の場。伊豆から遠州までのアートの担い手たちが一堂に集まる機会として注目している。

今年は採択団体の約50人に加え、一般参加者もディスカッションに加わったのが特徴。アーティストや芸術祭の担い手に加え、行政の文化政策担当者や文化施設の担当者、県外の文化団体の名前があったのには驚いた。

催しはアーツカウンシルしずおかの櫛野展正チーフプログラム・ディレクターのスピーチで始まった。

「各地で創造的なアートプロジェクトが、展開されています。ただ、現状は地域ごとの活動が点としてばらばらに存在している。横のつながりが不足しがちなのではないでしょうか。自分たちだけで悩みを抱え、手法について迷いを感じている方も少なくないはず。だからこそ、皆さん一人一人が孤立しないためのネットワークが何より重要になると感じています」

アーツカウンシルしずおかの櫛野展正さん


見慣れた風景に光を当て、その価値を再認識する。効率重視の社会の中で見落とされがちな小さな声や記憶を、社会の資産として可視化させる。多様な生き方や試行錯誤を受け入れる余白を地域社会に作り出す。地域で展開するアートプロジェクトの意義について、櫛野さんはそんな話をした。

筆者はこのミーティングに毎年参加しているが、アーツカウンシルしずおかという組織が目指すもの、「県民すべてが表現者」という終着点への道筋が、年を経るごとに鮮明になっているように感じる。これは、5
人の専門スタッフが各地のアートの担い手と対話を繰り返した、「血肉化」の作業の成果である。

最後に、今年の採択プロジェクトから、代表者の声をお届けする。まずはこれまでに複数回支援を受けている「ベテラン組」から「熱海怪獣映画祭」(熱海市)の水野希世代表。「熱海を怪獣の聖地に」をキャッチフレーズに、怪獣映画の上映を核にした映画祭を毎年開催。地元飲食店とのコラボレーションメニューや公共空間でのイベントも組み合わせ、観光資源としての「怪獣」の可能性を追求している。

「アーツカウンシルのこうした催しに来ると、いろいろな人と出会えて、対話を通じて(自分たちの活動の)ヒントになることが必ず得られる。近隣で活動されている方々の状況を知れるのも大きいし、自分たちの活動を振り返るきっかけにもなる」

「熱海怪獣映画祭」の水野希世さん(中央)。今年は10月31日(土)、11月1日(日)の両日を予定


続いて、アーツカウンシルしずおかの支援は初めての「吉田温泉実行委員会」(沼津市)の兼子京子さん。かつての銭湯を会場に、さまざまなアート活動を展開している。

「この名前で活動を始めて5年目。こういう活動をしていると、孤立してしまいがちで、横のつながりがほしくて今日は足を運んだ。アーツカウンシルしずおかは、コーディネーターの方を通じてほかの団体の情報、工夫している点を教えてもらえることが大きい」

「吉田温泉実行委員会」の兼子京子さん(左から2人目)。11月7日(土)に映画上映会とエリア散歩とブックマルシェを組み合わせた「川まち散歩」を実施する

静岡県に関係する文化芸術、ポップカルチャーをキュレーション。ショートレビュー、表現者へのインタビューを通じて、アートを巡る対話の糸口をつくります。

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