「裁判をいたずらに延ばすことは考えていない」袴田巖さん無罪判決に検察は【「袴田事件」再審判決】

1966年、静岡県旧清水市(現静岡市清水区)でみそ製造会社の専務一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」の再審で、静岡地方裁判所は9月26日、袴田巖さん(88)に無罪判決を言い渡しました。検察側の受けとめは。

<社会部 山本太朗記者>
静岡地方検察庁は閉廷から40分後、26日の判決公判についての会見に応じました。同地検の小長光健史次席検事は、会見の冒頭「きょう、静岡地方裁判所が袴田氏に無罪判決を言い渡したことは承知しております。判決内容を精査して適切に対処したいと考えております」と話しました。

無罪判決については「必要な立証は行ってきたものだというふうに考えておりますので、その点について裁判所がどのように判断されたかをしっかり精査した上で対応したい」と回答しました。

捏造が認定されたことについての質問には、「判決内容をきちんと精査した上で、対応したい」と回答。控訴については「裁判をいたずらに延ばすことは考えていないので、上級庁と相談の上判決内容をきちんと精査した上で、適切に対応したい」と回答し、明言を避けました。

一方、静岡県警は、「無罪判決が言い渡されたことは承知しております。今後、検察当局において、判決内容を精査し、対応を検討するものと承知しておりますので、コメントは差し控えさせていただきます」とコメントしています。

控訴期限は10月10日。静岡地検の対応が注目されます。

<LIVEしずおか 滝澤悠希キャスター>
「控訴期限は10月10日となっています。西さん、ここまで弁護側そして検察側双方の会見についてお伝えしましたが、率直にどう聞いていましたか」

<元裁判官 西愛礼弁護士>
「やはり大事なのは、これからだと感じました。やはり、戦後5件目の死刑の再審無罪事件ということで、結果がやはり刑事司法にとっても大きな一つの転換点だと思います。これを『きょう、無罪でよかった』とか、『捏造けしからん』で終わるのではなくて、そこから、さらにこの袴田事件の教訓というのを、これから次の世代に生かしていかないといけないという課題を感じました」

<LIVEしずおか 滝澤悠希キャスター>
「まさに教訓を生かすということが大切になってきますが、あらためて今回の判決については、弁護側の主張がおおむね支持されたという認識でいいのでしょうか」

<元裁判官 西愛礼弁護士>
「基本的に弁護側が主張していた捏造などについて認められていると、そのすべてを全部認めるというわけではなくて、手堅く裁判所としても、認めるところは認め、認めないところは認めない。その上で捏造というところまで認めているというふうになります」

「あしたを“ちょっと”幸せに ヒントはきょうのニュースから」をコンセプトに、静岡県内でその日起きた出来事を詳しく、わかりやすく、そして、丁寧にお伝えするニュース番組です。月〜金18:15OA

人気記事ランキング

ライターから記事を探す

エリアの記事を探す

stat_1