浜松ぐるぐるマップ No.94 保存版 おいしい和食

予約が取れないすし懐石の店に、京都の名料亭で修業を重ねた息子2人が加わり、懐石の店としてスタート。大切な人と訪れたい、とっておきの店だ。食材は地物を中心に厳選。貴重な掛川産のごまを使った「胡麻和へ」など、素朴ながらも料理人の腕が光る逸品に仕上げる。ダシの贅を尽くしたた品々は野趣に富み、洗練さも感じさせる。調理場がすぐ横なので、五感を刺激されつつ、待つひとときも楽しい。中でも椀物は、開けた瞬間の香り、味わえば奥行きのある旨味、そして余韻も心に刻まれる。手作りの器やしょうゆなど、一つ一つの品から、店主の丁寧な仕事ぶりが伝わってくる。

■お椀　蟹しんじょ
鰹節の荒節と本枯れ節・鮪節の3種類を素材ごとに鉋（かんな）を替えて削りダシを取る。蒔絵の椀の中に季節を感じる、椀物をメインにしたコースの一例。

■素材の味を感じる「とろ鯖寿司」

コンクリート打ちっぱなしの建物に無垢の杉材。低い入口が茶室のにじり口を思わせる

京都で15年修業し、2年前に父の洋食屋を改装してオープン。日本食の基本であるダシを大切に、浜松では希少な昆布を京都から取り寄せて、毎日ひいて料理に生かす。手頃な値段で懐石を味わってほしいとの思いから生まれた「彩御膳」は、季節やメニューで変わる器も楽しみの一つ。こだわりのダシは、茶わん蒸しなどでも味わえる。5月には同店の名物であるハモが登場。生きたまま仕入れるため、プリプリ食感の刺身は絶品だ。

■彩御膳
旬の小鉢が6品、竹籠へ彩り豊かに。刺身・煮物椀・茶碗蒸し・ご飯・漬物・デザートが付く豪華な懐石風。限定15食、予約制

■天ぷら・土瓶蒸し・炊き込みご飯など、豪華な「松茸御膳」は秋限定

人気のテーブル座敷。窓辺に季節の花が

旬の野菜や魚介を使った定番からユニークな創作系、アワビや鰻などの高級食材まで、常時50種類の串揚げを用意。薄衣でアツアツ揚げたてを提供するので、素材の美味しさがダイレクトに伝わる。名物は「串の行進」1620円～。8本・10本・20本と本数でオーダーするスタイルで、その日おすすめの串揚げが次々と登場する。次の料理を期待しながら待つ時間もまた一興。中庭に面したボックス席や、40人まで収容できる宴会場もある。

■串揚げの盛り合わせ
旬の食材の盛り合わせ。写真はアラレの食感が楽しい海老とホタルイカ、メンチカツに芽キャベツなど。

■富士山・岡村牛のステーキ
串揚げ以外にも刺身や肉、一品料理などが充実

最大40人までOKの2Fは座敷席

都内で100年以上続く老舗の料理屋などで16年ほど修業した店主の小出弥寿典さん。地元の浜松へ帰郷し、かしこまらない和食をモットーに、小粋な居酒屋をオープンした。旬の食材にこだわり、ひと手間を加えた料理を提供。「刺身定食」など7種類のランチをそろえ、ボリュームのがあるのもうれしい。全国各地から取り寄せる銘酒を約20種類そろえ、夜は日替わりの旬の食材で楽しませる。小出さんの実家が70年以上続く精肉店とあり、「ローストビーフのサラダ」といった肉料理の美味しさもお墨付き。昼夜で表情を変える、スタイリッシュな空間も魅力だ。

■「刺身の盛り合わせ」（2人前）ランチ「刺身定食」はご飯・みそ汁・小鉢・お新香が付く

■「ローストビーフのサラダ」

広々ゆったりとした空間の店内

新元号を記念し、日本料理のおいしさに改めて注目。県西部・豊橋エリアの中で、一度は味わってみたい和食の店91軒を取材した。美しい盛り付けの会席料理や、香ばしく焼き上げられたうな重、職人技が光るにぎり寿司など、多彩な日本食を9つのジャンルに分けて紹介。今、注目の「和カフェ」やおしゃれな定食屋、ランチのある居酒屋など、和食をカジュアルに楽しめる店にもスポットを当てた。浜松の食を支える生産者と料理人にインタビューした特別企画も掲載。人の心を自然と和ませる、和食の魅力が詰まった一冊だ。
（本体価格1200円（税抜）／発行月2019年5月）