難病の17歳杉山さん、全国写真展で最高賞 母「頑張った証し」

 静岡県立東部特別支援学校高等部2年の杉山晃也さん(17)=裾野市=が、全国の肢体不自由者が作品を寄せたデジタル写真展で、最高賞の特賞に輝いた。全身の筋肉が衰える難病「先天性筋ジストロフィー」を抱え、ほとんど寝たきりながら、アプリを活用して幻想的な写真を撮影した。母の奈々さん(40)は「頑張った証しを残せた。人の心に響く写真が撮れたことを誇りに思う」と喜んでいる。

特賞に輝いた杉山晃也さん(左)と母の奈々さん=2020年11月、清水町内(奈々さん提供)
特賞に輝いた杉山晃也さん(左)と母の奈々さん=2020年11月、清水町内(奈々さん提供)
杉山晃也さんの作品「溢れ出す希望」
杉山晃也さんの作品「溢れ出す希望」
特賞に輝いた杉山晃也さん(左)と母の奈々さん=2020年11月、清水町内(奈々さん提供)
杉山晃也さんの作品「溢れ出す希望」

 「第39回肢体不自由児・者の美術展/デジタル写真展」(日本肢体不自由児協会など主催)に寄せられた写真は846点。清水町内の病院に入院中の晃也さんは昨夏、教員による訪問教育で写真撮影に取り組んだ。作品は、発声に反応してシャッターを切るアプリが入ったタブレット端末を使って撮影した。院内の暗室で、グラスファイバーが付いた照明器具の青い光に照らされた自分の手のひらを収めた。
 指導した船越翔教諭(32)によると、晃也さんは以前から写真撮影に意欲的だった。船越教諭は晃也さんの撮影を楽しむ生き生きとした姿に、作品のタイトルを「溢(あふ)れ出す希望」と付けた。審査員からは「想像力をかき立てる」「コロナ禍の中、一筋の光が見えた」と高い評価を受けた。
 生後半年ほどで難病に診断された晃也さんにとって、コンクールへの応募は初めてだった。奈々さんは「どんな障害者でも何かの才能を持っていると、作品を通じて知ってもらいたい。障害への理解を広めることにつながれば」と期待する。
 晃也さんは昨年10月末、誤嚥(ごえん)防止のため気管切開の手術を受けた。声を出すことができなくなり、発声で撮影する写真はこの作品が最後になった。奈々さんは「これからも新しい楽しみや秘めた力を見つけてほしい」と願う。
 同展では、同高等部2年の土屋愛美さん(17)も金賞を受賞した。

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