緊急事態宣言拡大、戸惑う愛知通勤者 静岡県西部観光「さらに厳しく」【新型コロナ】

 新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言の対象地域が13日、これまでの首都圏に、愛知県など7府県が加わった。同県と隣接する静岡県西部では観光や経済活動への影響を懸念する声が上がるとともに、県境をまたいだ移動自粛要請に、通勤者や受験生などから戸惑いも聞かれた。

静岡県外への移動に対する注意を表示している国道257号の電光掲示板=13日午後7時ごろ、浜松市北区引佐町
静岡県外への移動に対する注意を表示している国道257号の電光掲示板=13日午後7時ごろ、浜松市北区引佐町

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 豊橋市など愛知県東三河は浜松、湖西市と生活経済圏が重なり、買い物や通勤など往来が盛ん。豊橋市から湖西市のドラッグストアを訪れた50代女性は「県境をまたぐと言っても車で5分ほどの距離だから」と強調。勤務先の豊橋市から湖西市のJR新所原駅に電車で帰ってきた保育士の女性(57)は「テレワークができない職種なので緊急事態宣言が出ても変わらずに出勤する」と語る。
 1月下旬から2月は愛知県内の大学が入試のピーク時期に入る。受験予定という浜松開誠館高3年の女子生徒(17)は「公共交通機関は避けて、家族の車で会場まで行く。アルコール消毒を携帯し、予備のマスクも持っていく」と話した。
 浜松市西区の舘山寺温泉は13日、人通りがまばらだった。首都圏からの宿泊キャンセルが相次ぐ中、ホテルと旅館は県内や愛知など東海地方を中心に誘客を図ってきた。観光関係者は「ますます厳しくなる」と覚悟する。北区の国民宿舎奥浜名湖の安達信彦支配人は「県内で相次ぐクラスターと『Go To』停止に加え、今回の緊急事態宣言。三重苦だ」と肩を落とした。
 県境域の企業は対応を検討中だ。浜松市を中心に本県西部でガス事業などを展開するサーラグループ(豊橋市)はエリアごとに業務を行うため、県境をまたぐケースは多くないという。ただ、両市の拠点施設で営業する飲食店の閉店時間に変更が生じる可能性があり、愛知、静岡両県の要請に従う方針。担当幹部は「情報をしっかりと収集して柔軟に対応する」と説明した。

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