運動合宿施設、苦境の夏 静岡県東部の利用減深刻【新型コロナ】

 新型コロナウイルスの影響で大学や高校の運動部が相次いで夏合宿を見合わせているため、静岡県内の施設が運営に苦慮している。特に首都圏に近く、多くの競技団体を受け入れてきた東部地区の合宿地は利用者の減少に頭を抱えている。

サッカーコートを利用する高校生ら。例年に比べて利用者はまばらだ=29日午後、裾野市の時之栖スポーツセンター裾野グラウンド
サッカーコートを利用する高校生ら。例年に比べて利用者はまばらだ=29日午後、裾野市の時之栖スポーツセンター裾野グラウンド

 ▶感染者数市町別内訳・マップ
 天然芝、人工芝合わせてサッカーコート10面が整う裾野市の時之栖スポーツセンター裾野グラウンド。例年の夏休みならば、1日平均約千人、40チームでにぎわう施設を29日に合宿で使っていたのは、福島県の高校1校80人のみだった。書き入れ時となる7月のサッカー合宿の利用者は約2千人で前年同月の2割にも満たない。8月の予約も前年の半分以下の1万3千人にとどまる。
 同センターの上間政彦ゼネラルマネジャーは「来てくれるチームに安心してサッカーをしてもらうしかない」と話し、利用人数の制限や食事の提供方法を工夫し万全を期す。だが、感染が広がればキャンセルがさらに増えると予測。首都圏より感染が緩やかな地域からの予約を待つしかない状況だ。
 フライングディスクを使った対戦競技アルティメットの聖地として知られる富士市の宿泊施設でも、3月の全国大会が中止になって以降、苦境が続く。夏休み期間に入っても集客は見込めない。受け入れ先の一つ、富士パークホテル(同市)の石毛稔支配人は「大学生などの合宿中止が続いている。スポーツ関係の受け入れはゼロになった」と嘆く。
 コロナ禍前の1~2月に都内で合宿誘致のイベントに参加した県も、感染拡大が続く現状では打つ手がない様子。担当者は「収束時に備え、市町とPR方法を練る」と話す。

 ■各競技強豪校「代替案」探る 県内高校宿泊伴う部活動禁止
 県教委は高校部活動の宿泊を伴う遠征や合宿を、夏休み中は県内外を問わず禁止とした。各競技の強豪校は、冬の全国大会に向けて力を蓄える貴重な場を別の形でどう確保するか、知恵を絞る。
 サッカーの藤枝東高は合宿を兼ねて毎年、石川県で開かれる親善大会に参加してきた。小林公平監督は「24時間を共にすることで団結力を高めていく場だったが、現状では仕方がない」と話す。同じ悩みを持つ県内外のチームと日帰りのリーグ戦を始めるなど、別の強化策を模索する。
 多くの私立校も恒例にしてきた合宿を実施しない方針。冬の全国高校駅伝を目指す常葉大菊川高の女子陸上部は長野県での2週間の高地トレーニングをやめ、富士山周辺のクロスカントリーコースに通う計画を練る。
 春高バレー7年連続出場中の富士見高女子バレーボール部も、全国の強豪が集う合同合宿への参加を見送った。甲斐健悟監督は「自分たちの力不足を選手にどう実感させるか。練習で意識付けするしかない」と話す。

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