「農」への挑戦者、戸田の「宝」 29歳男性が休耕地求め移住

(2017/8/28 11:00)
ミニトマトを収穫する長崎俊亮さん=7月下旬、沼津市戸田

 沼津市戸田で昨春に新規就農した20代の生産者が、休耕地を活用して地域の特色を生かした農業に取り組んでいる。高齢化が進む同地区の未来を担う人材として、農業関係者の期待は大きい。
 就農したのは長崎俊亮さん(29)=神奈川県出身=。2013年、少年期に祖父の畑で収穫の手伝いをした記憶から農業への憧れが募り、土木系の施工管理会社を脱サラした。目指すは「農家レストラン」の開業。横浜市内のイタリア料理店で修業し、15年に富士宮市の農園で農業研修も積んだ。
 研修の傍ら、伊豆半島の海岸線をたどって休耕地を探した。住人の親切な対応に引かれ、戸田地区で農業者としての第一歩を踏み出すことを決めた。
 16年3月に移住。人づてで約2千平方メートルの休耕地と空き家を確保し、土作りから始めた。「この土地ならではのやり方で、地域循環型の野菜を作りたい」。戸田で水揚げされるタカアシガニの殻や魚の骨、特産の戸田塩製造時に出る薪の灰などを土に混ぜこみ、年間約100品目を栽培する。「実季楽(みきらく)農園」の名で市内の飲食店やスーパーに販売している。
 同地区では極めて珍しい20代の新規就農。別の地権者からも休耕地貸与の申し出があり、管理する畑は6カ所約7千平方メートルに広がった。仲介した同地区の農業水口敬詮さん(78)は「みんな、この男にやる気を感じたんだ」と太鼓判を押す。
 夏場はナスやトマト、ズッキーニの収穫に忙しい。「農業は全て自分次第。充実感がある」。新規就農者向けの農林水産省の補助金は最長5年間。その間に事業を軌道に乗せなくてはならない。
 旧戸田村商工会の流れをくむ沼津市商工会が経営指導などでバックアップする。担当者は「戸田の新規就農のモデルになってほしい」と期待を込める。

 <メモ> 戸田地区(旧戸田村)は2005年4月に沼津市と合併した。当時の人口は約4千人だったが、現在は3千人を切る。17年8月1日時点の高齢化率(65歳以上)は49・6%で、市町別(17年4月1日時点)のトップ西伊豆町(48・0%)を上回る。急速な人口減と高齢化で、次世代への農地の継承は喫緊の課題となっている。

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