徳川の元武士創業、134年 静岡の注文紳士服店、12月に閉店

(2018/11/7 07:18)
店内で紳士服の生地の見本を手に取る4代目の辻韶彦さん=11月上旬、静岡市葵区の辻源洋服店

 静岡市葵区の呉服町商店街の老舗注文紳士服店「辻源洋服店」が12月25日に閉店する。1867(慶応3)年に大政奉還した徳川慶喜に従い静岡に移り住んだ元武士辻源之介が、市内で最初の本格的な洋服店として84(明治17)年に開店したとされ、今年は創業134年目だった。
 4代目の辻韶彦(あきひこ)さん(74)によると、曽祖父の源之介は慶喜の下で、当時最先端だった西洋文化に触れる機会があり、洋服店を開くきっかけになった。当時洋服を着ていたのは一部の上流階級だけだったが、1914(大正3)年には市内では初めての3階建ての店舗を構えた。
 閉店は跡継ぎがおらず、「出来上がった洋服を渡すときに責任を持って渡せなくなった」(韶彦さん)ため。「客とコミュニケーションを重ね、服を作り上げていくのが楽しみだった。後日『あの服良かったよ』と言ってもらえるのが最大のやりがいだった」と韶彦さんは振り返る。
 同店には現在、「閉店するなら数着作りたい」という常連客から注文が殺到している。祖父の代から紳士服を注文し続けている駿河区の不動産業の男性(74)は「これまで40着は作った。着慣れていたので残念」と話した。
 大手企業の幹部が静岡滞在時に同店の紳士服を気に入り、その後全国転勤した後も必ず注文し続けてくれたことも良い思い出という韶彦さん。「服は相手への礼儀。ファストファッションが全盛の時代だが、TPOに応じた服装が大切なのはいつの時代も変わらないはず」と訴える。
 

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