森林限界、10年で1メートル上昇 富士山の生育域広がる

(2018/10/24 07:38)
森林限界付近の樹木を調査する学生ら=10月上旬、富士山標高2300メートル付近

 静岡大が1978年から10年ごとに継続している富士山の森林限界付近の定点観測が40年目を迎え、9月末から10月上旬にかけて学生らの大規模調査が行われた。これまでの調査で森林限界が10年ごとに約1メートル上昇していることが分かっていて、今後も植物の生育域は徐々に広がるとみられている。
 調査地は宝永第二火口付近の標高約2400メートル地点から、斜面を幅約10メートル、山裾に向かって約220メートルの長方形で囲った区域。一帯は1707年の宝永噴火で森林が失われ一時的に森林限界が引き下げられており、調査はその後300年以上かけて森林が回復してきた状況の一端を記録する貴重な資料となる。
 調査は3日間行い、同大理学部の学生やOBらが森林限界の先端で裸地に群落をつくるオンタデなどの先駆植物、その後群落に侵入するカラマツ、シラビソなど、一つ一つ番号を付けた樹木の幹の直径や高さを記録した。
 同大によると、1978年時点で区画最上部から平面距離で約70メートルの地点だった森林限界の位置は2008年調査で最上部から40~50メートルに上昇。ことしの調査では40~30メートル付近まで植生を確認した。同大の増沢武弘客員教授は「森林限界はいずれ、日本の他の高山帯と同様に標高2800メートル付近、それ以上まで上昇する」と予測する。
 一方、主にコケ類しか生育しない山頂付近では10年ほど前からイワツメクサなどの種子植物が確認されるようになった。山頂の平均気温は1980年以降上昇傾向にあり、森林限界の上昇速度や山頂付近の異変との関係性解明に向けてはさらに長期的な調査が必要という。

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