戦禍逃れた教会、記憶継承の場に 静岡・清水区で市民有志ら計画

(2018/9/27 17:01)
戦禍を逃れたカトリック清水教会

 太平洋戦争末期に米軍の空襲や艦砲射撃を受けた静岡市清水区(旧清水市)で、奇跡的に戦禍を逃れた岡地区の平和遺産「カトリック清水教会」を舞台に、戦争体験者の聞き取り会や朗読劇を行おうと地元自治会と市民団体「ミッション・ゲルニカ」が計画を進めている。若い世代への戦争体験の継承と、語り手育成に向けた新たなプロジェクト。同教会で初めてのイベントが29日に、実現することになった。
 1945年7月、米軍爆撃機の空襲や清水港艦砲射撃などにより清水の市街地は焦土と化し、多くの犠牲者が出た。焼け残った教会は救護活動の拠点として開放され、多くの負傷者が運び込まれた。教会は現在も、当時の姿のまま残っている。
 プロジェクトは歴史的背景がある教会で地元の戦争体験を語り継ぎ、平和の尊さを訴えるのが目的。体験者による聞き取り会を実施した上で、その内容を基にミッション・ゲルニカのメンバーが戯曲を制作し、地元の中高生らと朗読劇を行う。
 29日は、同地区の戦争体験者らが当時の様子を座談会形式で語り合うパネルディスカッションを教会で開催する予定。来場無料で、小学生以上の誰でも参加することができる。
 「この場所で活動することに意味がある」と強調するのはプロジェクトの中心として活動するミッション・ゲルニカのメンバーで女優、山下ともちさん(45)。「当時と変わらぬ造りの建物で、眠っていた記憶がよみがえる体験者もいるかもしれない。学校への呼び掛けも強化し、朗読を通して多くの若い世代に戦争の記憶を継承したい」と意気込む。
 「平和遺産」での活動を重ね、戯曲作り講座開催も検討する。ミッション・ゲルニカのメンバー募集も行い、若い世代を中心に静岡にまつわる戦争の話に触れる機会を積極的に提供したいという。

 <メモ>カトリック清水教会 静岡市清水区の中心部に立つ木造建築で、1935年にフランス人神父が建設。尖塔(せんとう)アーチ型が窓や天井などに見られるゴシック様式が特徴。 関係者によると、教会は現在、環境改善などを目的に建て替えを望む声と、メンテナンスを行いながら保存を目指す意見がある。2019年3月に開かれる総会で結論が出る見通し。

 <メモ>ミッション・ゲルニカ 戦争の記憶を多くの市民に継承するための活動を展開する市民団体で、静岡市を主な活動拠点としている。空襲など戦争体験者の経験談をメンバーが戯曲化し、朗読劇などを開催。団体名は、スペイン内戦での無差別爆撃を主題に描いたピカソの絵画「ゲルニカ」が由来。

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