第五福竜丸の資料、貸し出しを開始 東京・休館中の「展示館」

(2018/8/24 17:00)
改修前の第五福竜丸展示館。多くの来館者に核被害の歴史を伝えてきた=6月16日、東京都江東区(同館提供)

 1954年3月に米国の水爆実験で被ばくした焼津港所属の遠洋マグロ漁船「第五福竜丸」を保存する東京都立第五福竜丸展示館(江東区)は、改修工事に伴う休館期間を生かし、展示・所蔵資料の貸し出しや学芸員の派遣を始めた。神奈川県内など10都市以上から貸し出しの申し込みがあり、既に展示会を開いた地域もある。同館は「平和の尊さや核の脅威を学ぶのに役立ててほしい」と活用を呼び掛けている。
 76年開館の同館は老朽化が著しいため、7月1日から一時休館し、屋根の全面交換や床材の張り替えなど大規模改修工事を進めている。2019年4月2日にリニューアルオープンする。
 休館中も、第五福竜丸が被ばくしたビキニ事件など世界の核被害の歴史を伝えていくため、全国の学校や自治体などに資料や展示パネルを貸し出し、要請があれば学芸員が出張解説に応じる。当時のガイガーカウンター(放射線量計測器)、放射性物質に汚染されたマグロのうろこの標本、第五福竜丸の大漁旗、当直日誌のレプリカなどが貸し出し可能という。
 第五福竜丸と同様にビキニ事件で多くの漁船が被ばくした神奈川県三浦市では6月中旬~7月下旬、小中学校11校で同館の資料を用いた巡回展が開催された。児童や生徒は第五福竜丸の被ばくを契機に世界で核実験反対の機運が高まった歴史を学んだ。資料は兵庫県西宮市や埼玉県三郷市などにも貸し出され、9月には都内の高校や市民団体も資料展示を予定している。
 同館の主任学芸員安田和也さん(65)は「ビキニ事件は過去の出来事ではなく、核被害は今日まで続いている。核被害の実態を積極的に発信していきたい」と話した。
 被ばく半年後に死亡した第五福竜丸の元無線長久保山愛吉さんの命日、9月23日は毎年、同館に約千人が訪れ、久保山さんの死を悼むのが恒例。今年は休館中だが、同館周辺で9月22~24日に屋外イベントを開催し、世界の核被害を訴える写真展示を予定する。

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