外来ヤスデの生息域拡大 静岡県内、衛生科学研調査

(2017/10/26 07:04)
ヤンバルトサカヤスデの生息状況を調査する神谷貴文・静岡県環境衛生科学研究所主査=18日、静岡市駿河区谷田

 台湾原産の外来生物ヤンバルトサカヤスデが静岡県内で生息域を広げている実態が25日までに、県環境衛生科学研究所(静岡市葵区)の調査で分かった。このヤスデによる人体や農作物などへの被害はないが、毎年10~12月に異常発生して住宅にも侵入する「不快害虫」。刺激すると強い異臭も放ち、地域住民は対策に頭を悩ませている。
 ヤンバルトサカヤスデは体長3~3・5センチで、100本ほどの足を有する多足類。日中は落ち葉や土壌中などに潜み、夜間に数百から数千匹が群がって建物やブロック塀などをよじ登る。
 同研究所は2008年度から毎年、県保健所と市町担当課を対象に、ヤンバルトサカヤスデの苦情に関するアンケートを実施してきた。初年度の回答は静岡市だけだったが、毎年新たな市町から報告があり、異常発生は16年までに浜松、焼津、伊東、下田など海沿いを中心に計12市町に広がった。
 伊東市は09年度から、住宅などの周辺に散布して害虫の侵入を防ぐ殺虫剤を希望者に無料配布している。申請件数は11年度に大幅に増え、その後は横ばい傾向。同市環境課の担当者は「薬剤配布とともに枯れ葉や腐葉土などを取り除き、ヤスデが成育しにくい環境づくりを周知したい」との方針を示す。
 一方、静岡市は殺虫剤購入に補助金を出す事業を13~16年度まで実施したが、本年度から中止した。同市保健所生活衛生課の担当者は「『不快』には個人差があって公益性から行政対応が難しい」と事情を説明する。
 ヤスデは自分で長距離移動できず、人間が土壌や植物などと一緒に運び込んだと考えられる。同研究所の遺伝子分析で、県内には地域によって異なる4分類の生息を確認した。神谷貴文同研究所主査(45)は「複数経路で移入し、拡散したのでは」と推測する。
 一度異常発生したヤスデの根絶は困難で、生息域をこれ以上広げない対策が重要。神谷主査は「温暖化が進めば、内陸にも拡大する恐れがある。現在は南日本から関東まで生息している。公共工事を含め、土木や造園、農業などの関係者が情報を共有し、土壌の移動制限と薬剤処理を行うべき」と指摘する。

 <メモ>静岡県内の外来生物 外来生物の中で自然生態系に悪影響を及ぼす危険がある動植物は、国が「特定外来生物」に指定している。県内では有毒性のヒアリとセアカゴケグモをはじめ、農業被害が大きいタイワンリスやアライグマ、富士山の環境保護でオオキンケイギクなどが問題になっている。ヤンバルトサカヤスデは特定外来生物ではなく、県は特別な対策を取っていない。過去には異常発生した鹿児島県で電車がスリップして運休する被害は出たが、静岡県内で人体や農作物などに直結する被害はなく、県自然保護課は「限られた予算の中で優先順位を付けて対応するしかない」と説明する。

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