応急危険度判定/住家被害認定調査 被災建物調査2制度、役割は

(2018/9/9 08:22)
「被災建築物応急危険度判定」と「住家被害認定調査」の役割と違い

 大規模地震の発生を想定し、10年ぶりに静岡市で行われた静岡県総合防災訓練。悪天候の影響で大半の屋外訓練が中止になるなど、規模を大幅に縮小したが、市町などが主体となって建物の損害程度を調べる「被災建築物応急危険度判定」と「住家被害認定調査」は訓練の一環として実施された。震災後の生活に直接関わる両制度の違いを知り、有事に備えたい。
 静岡市駿河区の静岡徳洲会病院。災害時は救護病院として地域の傷病者らを受け入れる施設に、応急危険度判定士の腕章を付けた行政職員たちが訓練のため駆け付けた。「施設の使用は問題ありません。調査済です」。同病院側のスタッフに結果を説明し、玄関口に緑色のステッカーを貼り付けた。
 被災建築物応急危険度判定は地震の発生後に行う調査で、余震による倒壊や物の落下で人命に関わる二次災害の発生を防止することが目的となる。建築士や1級建築施工管理技士などの有資格者で、講習を受けて県に登録した行政や民間の判定士が、地震発生後速やかに被災地域の建物を巡る。
 判定士は主に外観からの目視で建物の沈下や傾斜、破損状況などを確認する。判定結果は立ち入りを制限する赤色の「危険」、入る際に十分な警戒を求める黄色の「要注意」、使用可能な緑色の「調査済」の3種のステッカーで示し、外部から見やすい場所に貼って当面の使用可否を住居者や地域住民、付近の通行人らに伝える。
 一方、住家被害認定調査の研修会は、静岡市駿河区の総合防災訓練会場に設置された模擬の被災住宅を使用した。県や県内市町と協定を結ぶ県土地家屋調査士会の会員や市職員ら約270人が、4日間に分かれて調査方法などを習得した。
 住家被害認定調査は災害による住宅の被害程度を公的に証明し、支援金の受け取りや仮設住宅への入居などに使う「罹災(りさい)証明書」の発行が目的。地震に限らず、津波や噴火、風水害など多様な災害が対象となる。被災世帯から行政への申請を基に、主に研修を受けた行政職員らが発災から約1週間経過後に現地を調べる。
 調査員は建物外観を見る1次調査で外壁の傾斜や基礎、屋根の破損状況などを確認する。内部にも立ち入る2次調査では天井や建具、設備などの状態も見て、被害程度を「全壊」「大規模半壊」「半壊」「半壊にいたらない」「無被害」の5段階で認定する。
 双方の制度は調査目的や判断基準などが異なり、基本的には判定結果に関連性が無い。応急危険度判定で「危険」と判断された建物でも、住家被害認定調査で「全壊」に認定されないケースもある。

 ■作業効率化アプリ 県防災訓練で効果発揮
 地震発生後、速やかに調査を開始する「被災建築物応急危険度判定」の作業効率化に向け、県はスマートフォンなどを活用した新たな調査・集計システムの開発を進めている。県総合防災訓練でも試験的に運用され、迅速な判定に向けて効果を発揮した。
 通常の調査では、判定士が調べた内容を現地で紙の個票に書き入れ、赤・黄・緑のいずれかのステッカーを貼って危険度を周知した後、本部などに用紙を持ち帰り判定結果を集計する。一方、新システムはインターネットのアプリケーションを使用。調査票はスマホで片手入力ができ、危険度を示すステッカーは衛星利用測位システム(GPS)により、被災した建物から離れた場所でもウェブ上の地図で確認できるようにした。判定結果は現地から瞬時に報告され、自動集計も可能にした。
 県建築安全推進課の担当者は「地震の発生直後でもネットが使えれば利用できる仕組み。通常時にも地域独自の防災地図の作成などに応用できるのではないか」と期待する。

「防災・減災」この他の記事

> 一覧

  • 静岡購読お申し込みは 0120-89-4311

  • 静岡新聞データベース

ニュース記事アクセスランキング

    ニュース特集アクセスランキング

      • スクープ投稿

      • こち高

      • 静岡購読NIE

      • 静岡新聞の本

      カテゴリー'