地名と災害の関係を統計分析 静岡大の岩崎研究室

(2017/5/17 17:00)
地名と災害リスクの関係性について統計学的な分析に取り組む岩崎一孝教授(右)と泉友太さん=4月下旬、浜松市中区の静岡大浜松キャンパス

 地名と自然災害リスクに科学的な関係性はあるのか-。静岡大学情報学部の岩崎一孝教授の研究室が、県内の大字単位の地名約5千カ所と、水害や土砂災害などの危険箇所情報を重ね合わせ、統計的な分析に取り組んでいる。郷土史や民俗学などとは一線を画した科学的手法で、防災関係者からも注目を集めそうだ。
 研究では県内各地の地名の語尾に使われている約800文字を抽出し、河川氾濫時の浸水想定区域や土砂災害警戒区域などの地図データと付き合わせて分析を試みた。災害の種別ごと危険性が高いのは、水害が「吉」「江」など、土砂災害は「倉」「内」などだった。災害リスクが比較的低い文字も調べ、「栄」「台」などが当てはまった。
 具体例を見ると、川筋の微高地を示すという「島」は水害の危険性、急傾斜地を表す場合があるという「林」は斜面崩壊のリスクが、それぞれ統計学的にも高く、定説と一致した。一方、「柳」は斜面崩壊の危険を表すという解釈があるが、今回の研究で災害との関係性は低かった。
 同様テーマの既存研究は、地名由来を災害履歴から読み解く手法がほとんどだった。今回の研究結果全体を統計学的に評価すると、現状の信頼性は6割程度。岩崎教授は「地名と災害リスクに一定程度の関係性があることを、客観的に示せた」と成果を強調した上で、「都市化進展前の旧来の地名データを使えば、結果の信頼性はさらに高まる」と今後の課題を指摘する。
 災害危険の危険性を示すハザードマップは行政情報で既に公開されているが、住民の認知度は必ずしも高くない。中心的に研究を進める泉友太さん(同大大学院総合科学技術研究科1年)は「生活に身近な地名から土地の災害リスクを見つめ直せば、防災意識向上につながる。対象範囲を全国に広げ、地名を2~3文字の単語に区切った分析も検討したい」と意欲を高める。

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