
76年前、1936(昭和11)年02月22日:
高橋是清蔵相が暗殺されたとデマが流れました。
実はその前日、2月21日は「大阪で地震が発生して商店街が壊滅した」
というデマが東京で流れています。昭和11年はこのように
連日デマが流れるという不穏な時代だったのですが、
高橋是清蔵相が暗殺されたとデマが流れた4日後、
青年将校達がクーデターを起こした226事件が発生しています。
そしてデマで暗殺されたとウワサされた高橋是清蔵相も
本当に暗殺されてしまったのです。
この226事件は東京に大雪が降った翌日に発生した事件ですが、
その前日、作家の井伏鱒二さんが日記に「白い虹が皇居の上に出ていた」
と書いています。実は白い虹というのは弱い明かりで出来る虹なのですが、
中国では『白虹貫日:はっこうかんじつ』と呼んでいて
「何か不吉な事が起こる前触れ」と言われているのです。
そして白い虹が出た翌日に226事件が起こっています。
この日、東京の積雪は最大で35cmもあり、明治時代初期に
気象台が出来てから現在まで東京での史上3番目の積雪記録だそうです。
(1883年に46cmという記録があります)ドラマで226事件を扱う時、
小説などでも、26日の夜明け近くに青年将校達が降りしきる雪の中を
行動するという場面があるのですが、中央気象台の記録では夜半は曇り空で、
昼近くになってから雪が降り始めたと記録されているので、
夜明け頃は雪は止んでいたみたいです。
夜明けと共に何も知らされていなかった市民達も「何かが起こっている」と
騒ぎ出したのですが、ほとんどの人が「軍の演習」だと思って
軍隊の行進などを見学していたそうです。取りあえず
戒厳令が引かれていたので、歴史上の記録では
都内に緊迫した空気が流れていたような印象があるのですが、
作家の永井荷風さんは「まるで金比羅さんのお祭りみたいだ」と
日記に書いています。その日記の中で都内を歩き回っているのですが
「虎ノ門周辺は野次馬でごった返し、お堀端ではどうなるかで
賭けをしている人もいた」などと書いています。
歴史上の凄い事件だったハズなのですが緊迫感はありません。
でも軍隊の中では凄く緊迫した空気が流れていたみたいです。この時、
反乱軍として鉄道省の官舎に立て籠もって次の命令を待っていた、
二等兵・小林盛夫さんという方は後の落語家「柳家小さん」なのですが、
上官から「お前、噺家だったら気を紛らす為に何か落語を演れ」と命令され、
渋々「子ほめ」という噺をやったのですが、誰一人笑わなかったそうです。
後に小さん師匠は「だって演ってるほうだってちっとも面白くねぇんだから」
と語っています。
この大事件が発生している大雪の日、浅草帝釈天では架空の人物ですが、
かの車寅次郎さんが誕生していて、帝釈天で産湯をつかっています。
もともと寅さんの誕生日に関しては設定されていなかったのですが、
最近になって監督の山田洋次さんが小説として
「226事件の最中に誕生した」と書いているのです。