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山田辰美 日々のまなざし
山田辰美 日々のまなざし
山田先生が日々の出来事や自然の移ろい、絆などをモチーフに綴る詩をご紹介しています。

2017年3月11日 06:38

山田辰美 日々のまなざし

闇と光

闇と光

(宮沢賢治「銀河鉄道の夜」)

大地が躍り、

大きな波が襲って

暗闇がこの国を支配した

目覚ましい経済成長を遂げた豊かな国は

70年ぶりに闇夜を迎えた

地響きのような慟哭だけが静寂をやぶっていた

痛みでうめき、不安で啜り泣き、

底冷えに震え咳き込む

昼は惨状を呆然と眺め

夜は寒さと闇にふるえた

「僕、もうあんな闇の中だってこわくない。

きっとみんなの本当のさいわいを探しに行く。

どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んでいこう」

ジョバンニのいう「本当のさいわい」とはなんだろう

混乱と失意の中で僕たちは仲間をたぐり寄せ

仲間のぬくもりに励まされて

新しい日本の再生に向かって立ち上がろうとしている

科学と経済が生み出した大物量の世界

それらは今、虚しい瓦礫と化している

「本当のさいわい」は

物や金の豊かさを競うような社会にはない

闇の中で目を凝らすと

小さいけれど美しい星たちが見えるように

暗い災厄の中で

「本当のさいわい」の在りかが探り出せるような気がする

自然の巡りと共に生き、

こころの絆や信頼で結ばれ

人の品性や誇りを大切にした懐かしい日本に

今、光とぬくもりを感じている