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2014年12月

2014年12月31日 10:08

カタツムリ

カタツムリ

 

柔らかな感受性で

自分が傷つかないように

固い殻に閉じこもっているのかい

 

春のそよ風や

陽だまりの匂いに誘われて

木の洞から出てきたのかい

 

好奇心の眼を

きょときょと伸ばして

何を探しに出かけたの

 

厳しい自然に身を置きながら

君より柔らかな心で

生きている花や虫もいる

 

自分を不幸だと思わず

自分にないものを求めず

自分にできることを見つけに行こう

 

この世界で起きているたくさんの出来事に

その身をさらしてごらん

殻の中でじっとしていないで

2014年12月27日 09:14

サンタさん

サンタさん

 

三歳の沙來はお月様が大好き

「お空のお月様はアンパンマンみたいだね」

欠けたり真ん丸くなったりする月

この世には不思議なことがたくさんある

でも子どもは不思議を疑わない

 

「お月様はさくちゃんについて来るよ」

「お月様はさくちゃんのことが好きなのかな」

子どもは胸ときめく不思議をそのまま受け入れる

それ以上の謎解きは要らない

 

クリスマスの夜、玄関のチャイムが鳴って、

ママが「あーっ」てうれしそうに叫んだ

そんな演出で十分だった

玄関の前に置かれていたのは

大きなリボンで飾られた夢にまで見たもの

 

「サンタさんが来た」と真剣に言う

急いで行き過ぎた人影はサンタさんだったと

サンタさんがくれたプレゼント

誰も異論はない

 

願いが叶うことは

不思議だけど素敵なこと

この世界には強い想いの叶うことがある

流れ星のように

嬉しいプレゼントの届くことがある

 

サプライズが色あせてしまう種明かしは要らない

届けたのはパパなんかじゃない

 

2014年12月13日 08:53

冬の朝

冬の朝

 

地平のかなたが

茜色から青に変わるにつれて

木枯らしは静まった

冬の朝だ

天上に白く月は氷ついている

 

壁に体当たりするように

身体を固くして外に出た

澄んだ朝の大気の中にするりと割り込む

息をするたび機関車のように煙を吐く

はあっはあっはあっ

歩みに合わせて霜柱が音を立てる

ざっざっざっ

 

立ち止まると静寂に包まれる

生き物たちは息を潜めている

真っ赤に紅葉した草の葉に

霜の白粉(おしろい)がきれいだ

こんなに厳しい寒さの中でも

地面にへばり付いて

放射状に葉を広げる草たち

真ん中に小さなつぼみを宿している

アカガエルのオスは冬眠から起き出して

日だまりの水辺を探し始めた

 

こんなに厳しい寒さの中で

どうして自然はこんなに楽天的なのか

寒波に氷付く夜がまた襲うのに

お日様が吹雪に隠れる日もあるのに

生き物は季節の巡りを感じているのか

それはきっと自分の中に

先祖の声と

子孫の声を聞いているんだね

 

2014年12月 6日 09:43

美しく散る

美しく散る

 

自分を育ててくれた母樹を離れようとする時

春風にそよそよと

甘い夢をみていた頃のことを想っていた

夏の日差しを全身に受けて、光をこぼすまいと

背筋を伸ばしていた頃を想っていた

 

四方に伸びた梢のさらに空に近いところで

波にもまれるようにさわさわと

しなやかな体を躍らせていた

いつのまにか厚みや大きさも十分に育って

母樹に光合成で恩返しできたと思う

 

今、自分から、きっぱりと別れを告げて

この高さから地上に落下するつもりでいた

死期を教えるように母樹は

私に美しい死に装束を準備し

全身を見事に染め上げた

 

ああ私は老いぼれた葉っぱだ

虫にかじられ、

激しい嵐にもみくしゃにもされた

母樹にしがみつく力ももはや失せてきた

憧れのお日様よ、見ていてくれ

終わりを美しく

誇りある葉っぱとして