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2014年10月

2014年10月25日 09:00

山田辰美 日々のまなざし

秋の山

秋の山

 

山道は目的地に向かってただ歩くのではつまらない

彩を深めた落葉樹が美しいだけではない

道の周りに気を配ると見えてくる

そこが野生動物の暮らしの舞台であることが

山の動物たちの飢えと愛の本能に基づいた行動が

生きいきとかいま見えるのだ

そんな山歩きをしよう

 

道の脇の斜面には動物たちが頻繁に行き来することでできた道がある

黒くて艶のあるピーナツくらいの糞が無数に散らばっている

シカの群れが主に使っているけもの道なのだろう

 

道の周辺に生えた小さな木の枝先がむしりとられている

よく見るとあちこちに食べあとがある

ウラジロモミは地面に近い部分がよくかじられている

たいして旨くもないはずの樹皮が、小さな歯型を残して剥ぎ取られている

これは冬にかじられたシカの食べ跡だろう

 

ビールの大瓶ほどの太さに育った木の皮がそぎ取られている

夏の終わりごろに伸び切った角の皮を

木にこすりつけて剥がし、角の先を磨くらしい

結婚の季節に備えた雄ジカの行動だ

やがて、「カン、カラーン」と乾いた音が森に響き渡る

 

道端の湿った地面は耕されたように、よくこねられ、ぬかるんでいる

自分の尿を混ぜた泥を全身にこすり付け、雌の気を引くためのぬた場だ

ぬた場にはけものの酸っぱい匂いがたちこめている

 

林の中にいた5・6頭のシカが鋭い警戒声をあげて走り出した

お尻の白い毛が良く目立つ雌と子どもの群れだ

さっきまで泥浴びの化粧をしていた雄が

よく通る声で鳴いて後を追う

そんな光景を想像させるシカの足跡がはっきりと地面に残っている

 

十分すぎるほどの手がかりで

野生生物の生活が迫ってくる秋の山

2014年10月18日 09:05

快進撃が始まった

大リーグ養成ギブスのような機器から解放されて

お前の快進撃が始まった

 

本来の陽気な気性が発揮され

よく笑うようになった

足の運びはぎこちなくても

探索したい気持ちがあふれだした

 

ドングリ目玉をきょときょとさせて

探検だ

テーブルや椅子を通り抜け

あっちへこっちへはいはいで動き回る

障害物があれば立ち上がって乗り越える

階段だってソファーだって登れるものなら

天まで登る勢いだ

 

お歌も大好き

音楽も大好き

いろんな音に目を丸くする

笑みを湛え、ころころと大笑いする

僕の目をじっと見つめて何かを話し出す

鼻の上にしわを寄せて目を細くして笑いかけ

一緒に拍手して上手上手をするよう求める

人に向かう意欲も強い

 

縛り付けられた日々はさようならだ

お前は広い世界が好き

小鳥のような自由が好き

縛り付けられた時間を取り戻すように

お前の好奇心は全開だ

快進撃は始まったばかり

2014年10月11日 09:00

水の旅

透き通って冷たい水はごくごくと飲み込まれて

僕の乾いた喉を潤して胃袋に溜まった

しばらくして真っ赤な血となった水は体内をめぐった後

汗となって大気中に飛び出した

おしっことしてトイレに流される水もある

 

蒸気となった水は上空で雲となり空を渡る

気団や山にぶつかり、高く上昇して冷やされると

雨となって落下する

多くは海に落ちるが

陸上に降った水は大地を潤し植物たちを喜ばせる

根っこに捉えられず地下にもぐった水は

やがて地上に湧き出して小さな流れとなる

小さな流れはよじれ 集まり瀬音を立てる川となる

山を抜け、平野を貫いて海に注ぐ

 

数限りない水の旅が世界中で今も進行している

地下深くや氷山などの袋小路にはまった一部の水を除いて

水は大いなる流転の旅を繰り返す

ヒトの体を巡る血の流れはその旅路のほんの1コマに過ぎない

 

自分を形造る水は地球上のそこかしこに存在した水だ

他の命を支えていた水でもある

 

1つの地球をめぐる水の旅

それは楽しげにこの星の神秘を歌っている

生きとし生けるものすべてがこの星と一体であることを

2014年10月 4日 09:10

嵐の後

嵐の後

 

嵐の吹き荒れた後の空は

とてもきれいだよ

平安な心にたどり着くために

たくさんの苦難が必要なんだね

 

嵐に耐えた樹木には

力強い根張りが育つ

強い人になるためには

たくさんの挫折が必要なんだよ

 

嵐の過ぎ去った後に

柔らかな花びらを広げる可憐な花

優しい人になるには

幾度もの哀しい想いが必要なのかな

 

安心していいよ

過ぎ去らない嵐などないから