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2014年7月

2014年7月26日 08:19

山田辰美 日々のまなざし

H26 7月26日OA カブトムシの命

カブトムシの命

 

俺は長いまどろみを貫けて、

勇ましい雄姿となって大地に立った

地上は光と匂いに溢れていた

腹ペコな俺はくらくらとめまいがして

気が付くと大木の樹液にむさぼりついていた

その深い香りとうま味に喉を鳴らした

芋虫だった頃には味わうことのなかった旨さだ

森の木々が俺の命を祝福している

腹いっぱい飲み干して、尿意をもよおした

放尿の気持ちよさに身震いして

俺は食うためなら死んでもいいと思ったさ

 

大きな柳の洞の中、木屑に埋もれている俺は

毎朝、甘い香りで眠りから覚め

香りに導かれて餌場に向かう

朝靄の中、餌場には先客がいたが

おしのけては樹液に食らいついた

立ちはだかる大物のクワガタには角に物を言わせた

奪い取った餌場で悠然とすする樹液はまた格別だった

俺はこの森の王だ

 

彼女と出会ったのもコナラの大木だった

気が遠くなるほど夢中になって彼女を愛した

俺は愛するためなら死んでもいいと思ったさ

俺を生きることに駆り立てたのは

愛と飢えだ

食うことも愛することも

生きることは歓びに満ちている

 

まだ青いどんぐりを付けた梢から

木漏れ日が煌めいている

力尽きて森の底に横たわる俺を光が照らし出す

遠くなる意識の中で満ち足りた気分を感じていた

自分が生まれた森の土にやがて俺は溶けて行くのだ

そこに彼女が新しい命を産みつけている

俺は感動して思わず叫んだ

子どもらよ、生きろ

限られた生を存分に楽しめ

人生は歓びに満ちている…

2014年7月22日 15:11

山田辰美 日々のまなざし

H26 7月19日OA 川に行こうよ

川に行こうよ

 

川が僕らを育ててくれた

 本当だよ みんな

君のお父さんもお母さんも

 小さかった頃 川でたくさん遊んだんだよ

  川にはわくわくした思い出がいっぱいあるんだ

   ゲーセンやファミコン ビデオやアニメがなかったからじゃない

    川の楽しさやおもしろさを誰もが知っていたからさ

     近所のガキ大将が 川との付き合い方をいっぱい教えてくれたんだ

 

子供の会話も変わったけど 川の姿も変わってしまった

 青々と水をたたえ 河童のいそうな淵

  堤の榎からターザンのように飛び込める場所もあった

   こうしたとっておきの場所や仲間だけの大切な場所が

    いつの間にか なくなってしまったんだ

 

このことに気が付いていた人は きっといたはずなのに

 ずいぶん長い間 そんなことはどうでもいいことだと

  ほとんどの大人が思っていただろうね

 

そして ようやく 僕らは考え始めたのさ

 失われつつある身近な自然の豊かさについて

  それらの大切さについて

   そうだよ 川はいつでも多くの生き物を育て

    ふるさとのの文化も育ててきたんだ

 

そのことに気付いて 僕らは正直あわてている

 川の育てた自然や文化が消えてしまわない内に

  それらを取戻し

   君たちに伝えなければと

 

君たちに魚採りや川遊びを教えてくれるガキ大将はいないだろう

 それなら 僕らと一緒に川にでかけよう

  僕らの川の事を君らも気に入ると思うよ

   絶対にさ

    だって

    川はたくさんの不思議と遊びがつまった玉手箱だから

2014年7月12日 08:15

山田辰美 日々のまなざし

H26 7月12日OA 透明な存在であるボク

透明な存在であるボク

 

そんな風に自分のことを表現した少年A

孤立した魂が犯した恐ろしい事件

何処か不気味な実存感を帯びた言葉

透明な存在

 

不気味な存在感が日本中の子供に浸透していった

少年Aに共感する子供たちが表れた

子供たちがある日突然、キレる現象

見知らぬ人を殺す行為

そこに意味なんてあるの

その衝動はどこから生まれたの

 

「顔なし」は自分を探したかった

家族の中でもクラスの中でも

自分がいなくても何も変わらないような感じ

誰も僕を振り返らない

誰も僕をあてにしない

気が付くと足元から透明になっていた

 

いじめに苦しむ者は透明になりたいと思うだろう

淋しくて虚しくて自分を消したい

透明になれば何でもできるもの

曖昧に受け入れる者は飲み込んじゃうの

 

現代という時代

日本という社会

豊かなはずの社会の中で何に飢えているの

貧しい国の子供は腹ペコで学校にも通えないが

家族を支える役割が与えられる

 

この国はどこかで間違っている

人は人の中で自分を見つけていく

人との関係を結ぶことで生きがいを見つける

液晶の画面からは自分は探せない

人に向かっていけば自分が見えてくる

もう透明なんかじゃない

2014年7月 5日 08:51

山田辰美 日々のまなざし

H26 7月5日OA ねじばな

ねじばな

 

鮮やかなグリーンの芝から

つんつん伸びた

可憐なピンク

よく見ると小さな花が並んでる

細長い葉っぱもある

 

梅雨の季節の晴れ間に

小さな花がらせんを描いて並んでいる

根元の方から開き始めて

身をよじりながら天に向かって咲いて行く

 

悲しい人を忍んで想う

乙女の恋心の様だという

恥らいながらも気づいて欲しい

そんな恋なのだろうか

 

よく見ると

激しくねじれているものも

ほとんど真っ直ぐなものも

右巻きのものも

左巻きのものも

いろいろなひねり具合だ

 

こう見えてもラン科の花

その中でも華麗な一族カトレアの末裔

その割に控えめなたたずまい

 

和蘭ならではの清楚な趣き

ひざを折って

顔を近づけないと

瑞々しい恋心は伝わらないよ

 

恥ずかしくもあり

嬉しくもある恋の季節

やっぱり気づいて欲しいよね