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2014年4月

2014年4月26日 09:35

山田辰美 日々のまなざし

H26 4月26日OA カブトムシの誕生

カブトムシの誕生

 

木漏れ日の射すどんぐりの森

気が付くと俺は

落ち葉の降り積もった柔らかな土の中で

真っ黒な腐植を食らっていた

食っては眠る毎日のくりかえし

やがて自分が自分に納まりきれなくなる

ううーんと息んで皮を脱ぐ

新しい自分が大きなうんこのように

古い自分の中からするりと出て来る

 

幾度古い自分を脱ぎ捨てただろう

俺は巨大な芋虫になって闇の中で丸まっていた

いつからか食欲は失せて

大人になる夢を見ては

寝返りを打っていた

 

どれだけの間、眠っていただろう

突然、誰かに呼ばれた気がして目覚めたんだ

あめ色の殻を乱暴に破って

ようやく俺は自分になった

 

蠕動運動や全身でのけぞるしなやかな体ではなく

がっちりした装甲に身を固め

大きな角を振りかざしていた

ひ弱な色白ではなく

全身が艶やかな赤みを帯びた黒だ

棘のある6本の足に力がみなぎり

かぎ爪でしっかと大地をつかんだ

声にならぬ声で俺は叫んだ

俺はこの森から生まれた!

 

2014年4月19日 09:32

山田辰美 日々のまなざし

H26 4月19日OA てんとう虫

てんとう虫

 

とげとげの体

黒と赤のまだら模様は不気味かい

育ちざかりのオレ様は

バリバリ食べたさ、アブラムシ

小さな悲鳴も上げず

逃げることもできないアブラムシ

カラスノエンドウの先っちょで

いつも仲間と体を寄せ合っている

アブラムシの群れ

け、気に入らねえ

 

そんなに尖ってどうすんのって

おれは早く大きくなりたいだけさ

親の喜ぶ点取り虫なんてなりたくない

7点くらいでいいのさ

勉強ばかりじゃあ

人生につまずいて転倒するぜ

 

アリのように働くのも好きじゃない

地面をはい回るアリきたりの人生なんて

おれはアリとあらゆることに挑戦し

お天道様に近いてっぺんが好きなのさ

 

そんなこんなで気が付くと

まあるい姿のてんとう虫

若い時はぐれてたけど

今では性格も丸くつややかになりましたよ

でもやっぱり好きな場所は

カラスノエンドウの先っちょ

好きな食べ物は

け、今でもアブラムシだ

 

2014年4月12日 09:09

山田辰美 日々のまなざし

H26 4月12日OA 濁った水

濁った水

 

強く憧れ

激しく求めていたときは

独りよがりで対象の実態を見届けられない

 

心が躍動し

激しく求めていたときには

誇張された感情で真実が見えない

 

大きく揺らした水は

波立ち泡だって濁っているが

そのまま静かにしておくと

いつしか澄んできれいになる

 

焦がれ、荒ぶり、悩み、苦しみ、悶えても

無理をせず

逃れるでもなく

静かに待っていれば

やがてこころは静まるものだ

 

濁った水はやがて澄むという

静かに時を待つべし

 

 

 

2014年4月12日 09:05

山田辰美 日々のまなざし

H26 4月5日OA 桜散る

桜散る

 

桜は舞い散る姿が美しい

桜咲く日本の春

寒さに凍える厳しい季節を超えて

歓喜に満ちて咲き急ぐ

巡りくる春を春を咲き誇る桜

美しく、儚く

そして潔く散る運命(さだめ)

 

咲く桜 散る桜

「散る桜残る桜も散る桜」

鮮やかに咲き、潔く散る

舞い散る姿こそ美しい

あまりに儚い美しさ

咲き誇った後、風に舞う煌めきは刹那の美

それは滅びを耽美する心

 

桜は二度と来ないこの瞬間(とき)を力強く彩る

その淡い花は瞬く間に枝先から咲きこぼれる

春の廻りに歓喜する心

里地を見事に染め上げていく

昔は農耕を始める時を知らせたという

花見は日本人ならではの春を讃える宴

 

そして散り際の美しさが悩ましく魅了する

華やか故に哀しい桜

人生の節目を刻む花だ

出会いと別れ

人生を、切なく彩る桜

めぐりゆく瞬間(とき)を偲ぶように

咲き誇り、舞い散る

咲き誇り、散り急ぐ