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2013年2月

2013年2月23日 08:31

山田辰美 日々のまなざし

2月23日OA 旅

 

 

初めての場所

見なれた町と違う風景

遠い街

見たこともない新しい空間

 

いつもと違う光と音

初めての味覚

変わった匂い

聞き取れない言葉

 

すべてが新鮮で

心弾ませている自分がうれしい

少しの不安を抱えながら

新しい場所に勇気をもって踏み出そう

 

そこにどんな出会いがあるか

どんな驚きが待っているのか

これが旅の楽しみ

これが人生の楽しみ

 

 

 

2013年2月 6日 11:21

山田辰美 日々のまなざし

2月9日OA 永遠の海

永遠の海―逝く者へ

 

朝の海には昨日の賑わいはない

人々の足跡も波打ち際の砂の山も

満ちる潮でかき消されている

何事もなかったように

新しい一日を迎える

かくの如く人は逝き

かくの如く人は失せる

 

今日も開けていく海

重苦しい闇の緊張から解かれ

原始の静けさを取り戻す

茜色から藍色へのグラデーション

清々しい朝の訪れ

新しい日が生まれる

 

野心を持って海を渡った者が

戦に勝利し富と栄誉を得た者が

夢破れて孤独な死を迎えた者が

死して残したものは何だろう

人生は死の前では幻想に過ぎない

野心も愛憎も夢の如く儚いものだ

死せるものはすべて海に還る

 

闇を貫けて訪れる朝

その度生まれ変わる想い

凪いだ海に風が走り始めると

数限りない波が躍り出す

跳躍、飛躍、しぶきのきらめき

波は打ち寄せて白い叫びとなり

やがて永遠を歌い始める

2013年2月 2日 07:54

山田辰美 日々のまなざし

2月2日OA 墨で描く

墨で描く

 

墨を真っ直ぐに立てて、硯の面を無心に滑らせる

鈍い光沢の墨がくぼみへとろりと溜まって行く

いぶされた芳醇な香りがする

筆先のしたたりをたしなめて

すばやく紙の上に運ぶ

 

筆を突き立て、抜きながら横に走る

筆を返し、跳ねる

真っ白な紙の上に浮かび上がる宇宙

 

筆に残る墨を絞り

筆を転がしてたっぷり水を含ませる

筆を寝かせ一気に撫で広げると

薄墨の面が滲んで広がる

白と漆黒の狭間に無限の表情を湛える

 

時に力強く、時に優しく

時に太く、時に細く

時に濃く、時に淡く

時に鋭く、時に滲み

時に凛として跳ね、

時にやわらかな弧を描く

 

筆を滑らせる心地よさ

表現する気負いも気恥ずかしさも忘れ

隠しきれない快感

 

紙は墨と水を受け取り

微妙な滲みを展開し広い山河を表す

墨の濃淡は意味ある造形となり

浮き上がり、うごめく生き物となる

 

戻ることのできない刹那の芸術

気を込めて瞬間と格闘する