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2011年12月

2011年12月30日 16:45

山田辰美 日々のまなざし

12月31日OA 連れ添い

連れ添い

 

 

連れ添いとは人生の伴侶のことだ

平たく言えば同じ人生を連れだって行く人だ

けれど同じ道を行くからといって

本当の連れ添いとは限らない

 

ある人はもたれたまま自ら歩き出さない

背負われ進むのを待っている

そうかと思えば、

三歩下がってついて行く人もいる

 

理想の連れ添いとは

足並みをそろえて

一緒に並んで歩いて行く人だろう

 

しかし、歩幅の違う二人が連れ添うためには

相手の歩調に合わせることや

時には引っ張ったり押したりすることが必要だ

 

ふと気付くと、ふたりの距離が開いていることもある

いつのまにか声が届かなくなっている

そんな時には

どちらかが駆け寄るか

じっと待ってやることも必要になる

 

同じ子どもの親となり

同じ赤ちゃんを一緒になって可愛がり

いつの間にか孫のいる家庭を築いていた

やがて

どっちが先かは分からぬが

結局は同じ墓に入る人

2011年12月23日 18:46

山田辰美 日々のまなざし

12月24日OA 水仙

水仙

 

土手の水仙が一斉に咲き始めた

木枯らしの吹くこんな季節に

光に向かってぐんぐん伸びて

小さなカップを一斉にならべた

その花群のうれしいこと

 

土手を歩く人は足を止めて愛でていく

走る人も視線をやりながら過ぎていく

通学で往き来する子ども達も喜んでいるだろう

でも水仙は何も考えず咲いている

人に褒めてもらおうと思っているわけでもない

与えられた生を生きてる

ただ咲くだけだ

 

人を楽しませようなんて考えやしない

季節の巡りに応えて土から吹き出たのだ

突き上げる勢いに身を任せて

空に向かってめいっぱい背伸びをしたところで

蕾がぽんと弾けて花になった

冬に咲くという決まり通りに

白と黄色の無邪気な花が次々に咲いていく

冬枯れた野に可憐な花は彩り立つ

香り立つ

 

しかし水仙は無心に咲いている

生きる証しとして花を咲かせようなどと

気負った思いはない

とやかく理由をつけたがるのは

ややこしい人間だけだ

水仙はただきっぱりと咲く

自らの命を生き切るだけ

ただそれだけ

ただそれだけ

だから美しいのかな

だからうれしいのかな

2011年12月17日 06:37

山田辰美 日々のまなざし

12月17日OA 流星群

流星群(「星の銀貨」から)

 

 

こんなに星の降る夜があるんだ

夜空に輝く星たちが

突然幾つも幾つも流れ出す

そんな奇跡がこの世にはあるんだね

 

乞われると応えてしまう女の子

自分の持っていたものは何でも

求められるままにあげてしまう

パンだけじゃなく帽子だけじゃなく

 

人の哀しみを哀しみとし

人の喜びを喜びとする生き方

そんな愛に満ちた人生もあるんだね

 

そんな清らかな心の女の子は

持っているものすべてを失っても

心に愛と祈りだけは失わなかった

 

すると奇跡は起こった

星空から星が落ちてくるように

金貨が降ってきたんだ

 

金貨は降らなくても

星降る夜はこんな子のためにあるんだね

2011年12月 9日 08:40

山田辰美 日々のまなざし

12月10日OA 贈り物

贈り物

 

  

クリスマスに誰からも贈り物がもらえなかったら

そんな子どもはさみしいだろうな

 

だけど、

贈り物したい相手がいなかったり

贈りたいのに贈ることができなかったら

贈り物をもらえなかった子どもよりも

もっとずっとさみしいだろう

 

贈り物をもらえることは

とてもうれしいことだけど

贈り物を受け取ってくれる人がいることは

もっともっとうれしいことだ

 

華やかなお店の中で

受け取ってくれる人のことを

あれこれと思い浮かべながら

最近の興味や心持ちに似合うだろう

幼稚すぎると思わないだろうか

包みを開いた時に驚いてくれるだろうか

心に届くメッセージは何だろう

そんな想いで過ごす時間こそが

私にとって一番の贈り物なんだ

2011年12月 2日 22:01

山田辰美 日々のまなざし

12月3日OA しぐさ

しぐさ

 

 

神の領域から遣わされた天使は

母に抱かれて夢の中にいる

 

お前は目覚めるたびに

激しく主張する

全身を弾けさせ

真っ赤になって訴える

その激しい訴えに大人はおろおろする

家族の注目の中、

お前は虚ろな目でうんちをして

腹をすかして乳房をむさぼり

そのまま安らかな眠りに落ちる

 

お前のしたたかな野生が

大人の本能を目覚めさせる

その笑みに歓び

その泣き声にうろたえる

家族のすべての者を今やお前が支配している

お前は家族の中心にいて

ひたすら飲んで、出して、眠る

母も父もそんなお前に本能的に応える

 

ふいごを吹くように泣く声

突然見せる天使の微笑み

透けるような頬、

強く握りしめたこぶし

桜貝のような指先、

意味不明な言葉、

じっと向けるつぶらな眼差し、

宙を掻く手足の動き

 

人の中に宿っている慈愛の本能を目覚めさせるのは

愛らしいお前の全てのしぐさだ