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2011年9月

2011年9月30日 21:50

山田辰美 日々のまなざし

10月1日OA からっぽの手

からっぽの手

  

からっぽの手は何を探してるの

つかむべきものは何

手に入れるべきものは何

 

赤ちゃんがにぎりしめていたものは何

長い暗闇を抜けて

不安と期待を抱いて

この世界に生まれたとき

あんなに強くつかんでいたもの

あるいは

母の胎内でまどろんでいたときも

すでに両の手に何かがあったのか

母や父は何をにぎらせてくれたの

 

夢を追いかけて

ここまで生きてきて

いつの間にかからっぽになった手

ひとりで生きれば生きるほど

理想を追って頑張れば頑張るほど

募る喪失感

なぜだろう

哀しくて淋しい

心の中に大きな虚ろができていた

 

気付いたよ、ようやく

からっぽのこころを満たすもの

それは独りで頑張らないこと

もっとみんなで取り組むこと

地域やコミュニティで役割を担うこと

同じ夢や人生観を共有する人たちと繋がること

感動を分かち合える仲間と手をつなぐこと

 

2011年9月24日 07:58

山田辰美 日々のまなざし

9月24日 OA 嵐の後

 嵐の後

  

嵐の吹き荒れた後の空は

とてもきれいだよ

平安な心にたどり着くために

たくさんの苦難が必要なんだね

 

嵐に耐えた樹木には

力強い根張りが育つ

強い人になるためには

たくさんの挫折が必要なんだよ

 

嵐の過ぎ去った後に

柔らかな花びらを広げる可憐な花

優しい人になるには

幾度もの哀しい想いが必要なのかな

 

安心していいよ

過ぎ去らない嵐などないから

 

 

 

2011年9月15日 17:38

山田辰美 日々のまなざし

9月17日 OA こころ伝えます SBSラジオ

(*9月15日(木) 静岡新聞掲載 SBSラジオの広告 から)

 

「お前は川で拾った子だよ」と親から突然言われ、涙した経験をもつ人は多い。

何でこんなことを言うんだろうと私も幼い頃、悩んだことがあった。

どんな親も子どもを大切に思っているに違いないのに。

この日本伝統の子育て法の教育的意義を解き明かすことは難しいが、

能天気に愛を注ぐだけではしまりのある人間は育たない。

少なくても、子どもの望むままにテレビやゲームと過ごさせていれば、ろくな子に

育たないだろう。

 

多くの人が魅力ある子どもとして憧れるトムソーヤやハイジには、

実は両親がいなかった。

全国でランドセルを贈るきっかけを与えた伊達直人ことタイガーマスクも、

みなしごだった。

悲しい惨めな境涯でも魅力ある人格は育つ。

児童虐待の問題は例外的に過ぎるが、

両親の愛さえあればいい子が育つ時代ではなくなった。

 

憂いや悲しみを抱く人は優しい。

深みのある人柄、強い人格は逆境や孤独で鍛えられて育つものかも知れない。

東日本大震災で親や友など大切な人を失った子ども達の哀しみはいかばかりかと

思うが、彼らはきっと逞しくて優しい人に育つだろうと信じている。

 

教育について門外漢の私のこんな子育て談義に、たくさんのリスナーから反応を頂き、うれしく思う。

これまで「人生を楽しめる子にするために砂場を守ろう」、

「子どもよ、大人になるのを急ぐな」、

「人生は天気同様、思い通りにならないことを教えよう」など、反響が大きかった。

これまで、私のたわ言にお付き合いくださり、心からありがとう。

今度はどんなお話をしようかな。

 

2011年9月10日 07:07

山田辰美 日々のまなざし

9月10日OA 海の黙示録

海の黙示録

 

遠かった憧れの海

川の子が惹かれていた大海原

海に連れて行ってもらった幼い時

水平線の彼方

果てしのない広さは想像を超えていた

足元で生き物のようにうごめく海に

密かに恐怖を覚えた

波と鬼ごっこしたのは

楽しい思い出だったのに

 

静かに持ち上がって

足元に這い寄ってくる海

波は大きく小さく

小さく大きく繰り返し寄せていた

3.11の衝撃と恐怖は

幼い心に刻まれていた感覚と重なった

 

すさまじい勢いで迫りくる壁

あれは馴染のある水の仕業ではない

水銀のような重量で街を打ち砕いて進んだ

ウルトラマンの脚元に在ったミニュテアの街のように

家もビルもあっけなく壊れていく

TVに映されたありさまは

音も匂いも地響きもなく

絵空事のようなリアリティのなさで

淡々と進行していた

しかし、心はどこかで巨大な海の恐ろしさを実感していた

 

穏やかな海も荒ぶる海も実体はひとつ

昔からそこにあったものだ

これは暴力でも殺戮でもない

生態系サービスと同じ地平に存在する

共生すべき自然のもう一つの姿なのだ

あんなに憧れていた海

それは恐ろしい力を秘めた巨大な海

2011年9月 3日 08:30

山田辰美 日々のまなざし

9月3日OA へその緒

へその緒

 

お前は突然、

純白の産着に包まれて

この世界に舞い降りた

 

本当は戦場から生還した兵士のように

血まみれでこの世に現れたらしい

その様はパパとママしか知らない

 

安らかな羊水の海から

お前は自らの意志でこの世に出てきた

お前は陣痛を送り母の踏ん張りを促した

母は産みの苦しみに喘いだのはわずか10分

初めての二人の共同作業は

実に気の合ったものだった

パパは唖然として見守るしかなかった

 

ママの腕に初めて抱かれたお前はまぶしそうにしていた

青白いへその緒で母の子宮と繋がったまま

その時まで、太く逞しい管で母と結ばれていた

頼りだったへその緒は間もなく切り取られ

私が見せてもらった時には

しなびれて既に貝の紐のようになっていた

それはお前が胎児だった時代の根っこなんだよ

 

お前を育んでいた命のパイプはもういらない

腹がすいたら泣いてねだればいい

うんちやおしっこも片付けてくれる

お前は本能のままに生きればいい

目に見えるパイプはないが

たくさんの愛と絆で繋がっている

そのことに急いで気づくことはない

お前は生き物の意志で生きて行くんだ

 

私にはまだ神の領域棲む天使にしかみえないが