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2011年7月

2011年7月30日 07:31

山田辰美 日々のまなざし

7月30日OA 生命の木

生命(いのち)の木

 

瀬戸川の土手に立つ大木

川面に大きな陰を落としている

それは生命輝く木だ

川風に梢をしならせな

唸り声を上げることもあるが

いつもは強さを秘めて静かに立っている

ごつごつした太い根を四方に伸ばし

その木は自分の力で立っている

 

枝に入った玉虫の幼虫には自らの材を食わせ

ゴマダラチョウには若葉を与える

塾した実には野鳥が群れ

冬に落とす大量の葉をダンゴ虫やミミズが待ち受ける

そして柔らかい肥えた土ができる

その木は生命のつながりの中で立っている

 

その木も初めはたった一粒の小さな種だった

小鳥が落とした糞の中から小さな生命が芽吹いた

この場所に生まれたのは偶然に過ぎない

しかし、今やここになくてはならない存在だ

多くの生き物や人が当てにしている

その木はここで今を生きている

 

川べりに凛と立つ一本の木

宙(おおぞら)へ伸びやかに枝を張り、

大きな陰を作っている

人々はそこに憩い安らぎ

たくさんの子どもが木登りを覚えた

その木は誇り高き生命の木だ

2011年7月23日 17:00

山田辰美 日々のまなざし

7月23日 OA 川に行こうよ

川に行こうよ

 

 川が僕らを育ててくれた。

 本当だよ、みんな。

 君のお父さんもお母さんも

 小さかった頃、川でたくさん遊んだんだよ。

 川にはわくわくした思い出がいっぱいあるんだ。

 ゲーセンやファミコン、ビデオやアニメがなかったからじゃない。

 川の楽しさやおもしろさを誰もが知っていたからさ。

 近所のガキ大将が、川との付き合い方をいっぱい教えてくれたんだ。

 

 子供の生活も変わったけど、川の姿も変わってしまった。

 青々と水をたたえ、河童のいそうな渕。

 堤の榎からターザンのように飛び込める場所もあった。

 こうしたとっておきの場所や仲間だけの大切な場所が

 いつの間にかなくなってしまったんだ。

 このことに気が付いていた大人は、きっといたはずなのに。

 ずいぶん長い間、そんなことはどうでもいいことだと、

 ほとんどの大人が思っていたからだろうね。

 

 そして、ようやく僕らは考え始めたのさ

 失われつつある身近な自然の豊かさについて。

 それらの大切さについて。

 そうだよ

 川はいつも多くの生き物を育てふるさとの文化も育ててきたんだ。

 

 その事に気付いて、僕らは正直あわてている。

 川の育てた自然屋文化が消えてしまわないうちに、

 それらを取り返し、

 君たちに伝えなければと。

 君たちに魚捕りや川遊びを教えてくれるガキ大将はいないだろう。

 それなら僕らと一緒に川に出かけよう。

 僕らの川の事を君らも気に入ると思うよ。

 絶対にさ。

 だって、

 川にはたくさんの不思議と遊びのつまった玉手箱だから。

2011年7月16日 08:00

山田辰美 日々のまなざし

7月16日OA お不動様の怒り

お不動様の怒り

―子ども時代を駆け抜けてしまう子ども達へ―

 

 急ぐな!

大人になるのを急ぐな!

ふるさとの川や野山でたっぷり遊べ

たくさんの生き物と不思議に、

河童のように目を見張るのだ

子ども時代をゆったりと味わえ

そして、心躍る体験や出会いを通して

金や物でない大切なものをつかみ取れ

 

急ぐな!

大人になるのを急ぐな!

もっと能天気な夢を見ろ

世の中が平和で、季節の巡りが狂わない限り

お前の人生くらいは何とかなる

しかし、お天気と人生が思うようにはならないこと

命のはかなさ、自然の恐ろしさも知るのだ

畏れという心だ・・・ 

 

急ぐな!

大人になるのを急ぐな!

子ども時代を駆け抜けて、どこへ行く?

人生のどこにもゴールはない

一回きりの命を楽しまなければ、もったいない

道草をしろ。

寄り道をしろ

お日様の育てた世界に身体毎飛び込んで

びっくり、なるほど、やったぜを存分に味わえ

その感動がお前にキラキラした輝きと

光りある未来を与えるのだ・・・

2011年7月 9日 07:59

山田辰美 日々のまなざし

7月9日OA めぐりあい

めぐりあい

 

人生は出会いによって決まるが

自分の生き方を変えるほどの

人とのめぐりあいはほんの一握りだ

まず自分に感受性がなければならない

人の考えや生き方に夢中になり

感動できる若さというパワーが必要だ

 

しかし

大切な人を忘れるのはたやすいことだ

その人の欠点を拡大して見るようにすればいい

そうすれば批判する心が芽生え

受けた刺激やときめきを忘れ

そこからは感謝の気持ちは失せてしまう

 

人生を振り返って

胸ときめく出会いがいくつあったろう

心から敬愛できる人に

どれだけめぐり合えただろうか

進むべき道を示してくれた師の教え

青春を熱くした恋と友情

その多寡はともかく

そこから自己を形成してきたのだ

 

キラ星のような邂逅をたぐり

その影響や感化を忘れず

謙虚に生きることは

自分の進むべき人生の

道しるべをもう一度確かめること

2011年7月 2日 08:00

山田辰美 日々のまなざし

7月2日OA ハンスのメッセージ

ハンスのメッセージ

 

めでたしめでたしで終わるばかりが

物語でないこと

不思議な出会いに心奪われて

恋に落ちることがあること

その通り だったよ

 

強い想いで愛を捧げ通せば

いつかは報われる?

いいや、そうとは限らない

 

ハンス・クリスチャン・アンデルセン

あなたは優しいメルヘンの人だけど

人生の辛さや哀しい宿命のあることを知っていたんだね

だから愛の輝きだけでなく

報われない愛があること

どれほど想いを捧げても

相手の求めるものに応えられないこともある

あなたが人魚姫に託した哀しいメッセージが

私の心に響いています

 

愛する人を想うとき

ガラスの破片の上を歩くような痛みがあること

どんなに努めても

望むようにはならないこと

好きになることが

歓び以上に哀しみを与えること

 

意気地なしの私は

泡ぶくのような詩を吐き出すことしかできなかった

 

ハンス・クリスチャン・アンデルセン

あなたの紡いだ物語が深く心に沁みます