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2011年4月

2011年4月30日 14:37

山田辰美 日々のまなざし

4月30日 OA 闇と光

闇と光

 

大地が躍り、

大きな波が襲って

暗闇がこの国を支配した

 

目覚ましい経済成長を遂げた豊かな国は

60数年ぶりに闇夜を迎えた

地響きのような慟哭だけが静寂をやぶっていた

痛みのうめき、不安な啜り泣き、

子どもの鳴き声、寒さに震え咳き込む声

昼は変わり果てたふるさとを呆然と眺め

夜は寒さと闇にふるえた

 

ジョバンニがカンパネルラに力強く言った

「僕、もうあんな闇の中だってこわくない。

きっとみんなの本当のさいわいを探しに行く。

どこまでもどこまでも僕たち一緒に進んでいこう」

ジョバンニのいう「本当のさいわい」とはなんだろう

混乱と失意の中で僕たちは仲間をたぐり寄せ

仲間のぬくもりに励まされて

新しい日本の再生に向かって立ち上がろうとしている

 

科学と経済が生み出した大物量の世界

それらは今、虚しい瓦礫と化している

「本当のさいわい」は

物や金の豊かさを競うような社会にはない

闇の中で目を凝らすと

小さいけれど美しい星たちが見えるように

暗い災厄の中で

「本当のさいわい」の在りかが探り出せるような気がする

 

自然と共に生き、

こころの絆や信頼で結ばれ

人の品性や誇りを大切にした懐かしい日本に

今、光を感じ始めている

2011年4月23日 08:47

山田辰美 日々のまなざし

4月23日OA 魔法の言葉

 魔法の言葉

 

相手に届くようにはっきりと

大きな声でゆっくりと

「ありがとう」って言うのはむずかしい

 

「ありがとう」って言えた時

自分のこころがぱあっと晴れる

自分の発した言葉に自分自身がときめいている

 

「ありがとう」は特別のおまじない

言った本人の心まであったかくする

自分がうれしいのだから

相手にもあたたかさは届くだろう

 

何気ないけど

かけがえのないものに囲まれて

幸せに生きている僕たち

善意のやり取りの中で生きていける幸せに

こころから感謝したい

 

日常の生活の中で鈍くなる感覚

慣れの中で薄まる感謝の気持ち

日々の繰り返しは決して当たり前でない

大切な絆に気付かせる

力強い魔法の言葉

「ありがとう」

2011年4月16日 10:21

山田辰美 日々のまなざし

4月16日(土)OA ② 春の宴

春の宴

 

見事に咲き誇った桜花

見慣れたはずの風景が

柔らかな色に染まり、

薫風に包まれて

春が告げられた

メジロやヒヨドリが歓びを歌い上げている

 

命燃やして咲き誇り

わが世の春を謳歌する

花の命は儚いもの

切ないほどの潔さ、美しさ

人は無常を感じつつ、

桜を讃える宴を催す

 

儚きものは桜だけではない

人の命

人の夢(人の夢と書いて儚い)

人の想い

この世は夢のまた夢

 

花は誰のために咲き競い

誰のために散り急ぐのか

はらはらと宴の席を飾る可憐な花びらよ

無数の花びらはやがて暗い大地を飾るだろう

2011年4月16日 10:14

山田辰美 日々のまなざし

4月16日(土)OA ① 春だよ

春だよ

 

冬枯れした枝先から

たくさんの花房が吹き出した

辺り一帯が柔らかな春色に包まれる瞬間

 

木枯らしにさらされた幹や

四方に伸びた枝が

寒々としたシルエットを見せていた

 

春はまだなの

みんな待っていたんだよ

ごつごつした根っこで大地の目覚めを感じ

暗い内部を駆け抜けて春がほとばしり出た

堅く閉ざしていた蕾が息を合わせて

一気に開き始めた

 

春だよ

春だよ

淡い彩りで美しく

きっぱりと凛々しく

桜の花が咲いたよ

2011年4月13日 13:37

山田辰美 日々のまなざし

4月9日(土)OA 「流されて」

流されて

 

どこまでも流されて大海原を漂っているのだろうか

波にもてあそばれて、海の底に沈んだのだろうか

それとも何かに引っかかって、瓦礫に埋もれているのだろうか

 

人間がため込んだ思い出の品々は

思い出の主を離れて、意味のないガラクタとなって四散した

物は大切に思う人の元に在って、初めて価値があるのだ

 

巨大な波は全ての物を奪い取った

自分の周りを飾っていた大切な品々まで

みんな剥ぎ取ってあっという間に運び去った

自分の人生を泥まみれに踏みにじった

 

執着していた想いや

こだわりの生き方もみんな流された

誤った考えもとらわれた欲望も

きれいさっぱり流された

 

テレビも本もなくなった

ネオンサインもみんな消えた

すがり付く物がない淋しい気持ちで

ふるさとの街をさまよう

足元に打ち寄せる波はこんなに穏やかで

潮騒はやさしくこころに響く

夕陽の入り江はこんなに美しい

見上げる星空の輝きにも改めて驚かされる

 

失ったものを探すのは諦めよう

自分に残された命と

少なくても

かけがえのない繋がりを大切に

もう一度生きよう

こころに残る絆を頼りに