藤枝明誠初Ｖ 春季高校野球
春季高校野球静岡県大会は藤枝明誠の初優勝で幕を閉じました。二枚看板と持ち前の勝負強さが光り、昨秋の県制覇に続く２冠達成です。戦いの軌跡を振り返ってみましょう。
〈静岡新聞社編集局TEAM NEXT・寺田将人〉
【決勝】投打かみ合い、掛川西との投手戦制する
第６８回春季高校野球静岡県大会最終日は５日、草薙球場で決勝を行い、藤枝明誠（中部３位）が勝負どころを逃さず、掛川西（西部１位）に３―２で競り勝って初優勝を飾った。３位決定戦は浜松工（西部５位）が初回の集中打で５点を挙げ、静岡（中部１位）を退けた。藤枝明誠と掛川西が出場する東海大会は１１日に組み合わせ抽選会を行い、２０、２２、２３日に三重県で開催される。
▽決勝
掛川西（西部１位）
１０００００００１―２
１００００００２×―３
藤枝明誠（中部３位）
▽暴投 後藤（掛）
▽試合時間 １時間５１分
【評】投打がかみ合った藤枝明誠が掛川西との投手戦を制した。
藤枝明誠は初回に先制を許したが、その裏に宮城、川瀬、西岡の３連打ですかさず同点とした。八回は宮城の右前打と四球、犠打で１死二、三塁とし、暴投で宮城が生還。さらに中野の内野安打で３点目を加えた。先発小林が四回の守備で負傷降板したが、救援した山田が５回を５安打１失点でしのいだ。
掛川西は３投手の継投で接戦に持ち込んだが、八回まで散発３安打と打線がつながらかった。
春季高校野球静岡県大会 トーナメント表
■明誠 新戦力で秋春２冠
藤枝明誠が掛川西との雨中の投手戦を制し、昨秋の県制覇に続く２冠を達成した。大会を通じて、エース左腕小林に次ぐ２番手右腕山田が台頭。打線も春から先発入りした中野ら新戦力が機能し、勝負強さに磨きを掛けた。光岡監督は「底上げができた」と及第点を付けつつ、「夏につなげなければ」と表情を崩さなかった。
決勝は、掛川西の左右両エースの登板なしで〝肩透かし〟を食らった明誠ナインだが、試合途中のハプニングで緊張感を取り戻した。四回の守備で先発小林が一塁のベースカバーに入った際に相手走者と接触し、負傷で降板。２年の山田が五回から急きょマウンドに上がった。
「チームを勝たせたいという気持ちの方が強かった」と、山田は動じず五回以降を５安打１失点。山田の気概に野手が応えた。「必死で投げている山田のために絶対打ってやろうと思った」と八回に中野が、投手強襲の内野安打で３点目を挙げた。昨秋の公式戦後に捕手から三塁手にコンバートされた中野が思い切りのいい打撃で勝利をたぐり寄せた。
東海大会では初戦（準々決勝）敗退の昨秋の雪辱を期す。主将の川瀬は「夏の３冠のために、県外の強豪に勝つことに加え、相手を見て学んできたい」と意欲を示した。
■元記事＝⚾藤枝明誠が初優勝 春季高校野球静岡県大会決勝 掛川西に競り勝つ（「あなたの静岡新聞」２０２１年５月６日）
【１、２回戦】いずれも７回コールドで相手を圧倒
▽１回戦（草薙第１試合）
富士（東部５位）
０００００００―０
３００４０１×―８（７回コールド）
藤枝明誠（中部３位）
▽二塁打 青木、宮城、川瀬、中野、加藤（藤）
▽試合時間 １時間３５分
【評】藤枝明誠が１１安打８得点で富士を圧倒し、コールドで勝利をつかんだ。
藤枝明誠は初回、二死二塁から川瀬の二塁打で先制。続く西岡、中野の連続安打で２点を追加した。四、六回にも得点を重ね、勝負を決めた。
富士は主戦平田が６四死球を出すなど乱れ、打線も計２安打と振るわなかった。
■主将途中交代 逆境でも地力
藤枝明誠は川瀬主将が死球で途中交代するアクシデントを乗り越え、投打で地力を見せつけ２回戦進出を決めた。
３点をリードし迎えた四回、二死一、三塁の好機で打席に入った川瀬が頭部に死球を受け途中交代を余儀なくされた。ベンチ内に動揺が走ったが、「チームを引っ張る主将の不在という逆境に打線が奮起してくれた」と光岡監督。続く西岡が２点適時打を放ち、中野も二塁打で加点して一挙４得点で試合の流れを引き寄せた。
主戦小林も五回までで１０三振を奪った上、無四球で相手にすきを与えなかった。六回からマウンドを引き継いだ２年山田が直球と変化球を織り交ぜ富士打線を１安打に抑えたのも今後につながる好材料。指揮官は「試合内容は良い。まずまずの滑り出しになった」と総括した。
■元記事＝藤枝明誠 コールド発進【春季高校野球静岡県大会】（「あなたの静岡新聞」２０２１年４月２５日）
▽２回戦（清水庵原第２試合）
浜名（西部３位）
０００００００―０
０３００５１×―９（７回コールド）
藤枝明誠（中部３位）
▽三塁打 萩原（藤）▽二塁打 加藤（藤）▽暴投 勝木（浜）
▽試合時間 １時間３２分
【評】投打とも好調さを見せた藤枝明誠が、七回コールドで浜名を退けた。
藤枝明誠は、六回までに１２安打と相手バッテリーミスなどで９得点を挙げ優位に立った。主戦小林は１０三振を奪い、相手打線を零封した。
浜名はわずか１安打。先発した竹内ら投手陣を援護できなかった。
■元記事＝投打に好調、藤枝明誠が完勝【春季高校野球静岡県大会】（「あなたの静岡新聞」２０２１年４月２６日）
【準々決勝】主戦小林が９奪三振 加藤学園をコールドで下す
▽準々決勝（清水庵原第２試合）
藤枝明誠（中部３位）
３００００３４―１０
１００１０００―２（７回コールド）
加藤学園（東部１位）
▽三塁打 小林、青木（藤）、太田（加）▽二塁打 西岡、菅井（藤）、植田（加）
▽試合時間 ３時間５０分（中断５３分）
【評】藤枝明誠が七回コールドで加藤学園を退けた。
藤枝明誠は初回２死一、二塁から西岡の適時二塁打で２点を先制。続く中野の適時打で追加点を奪った。六、七回にも打線がつながり計７点を挙げた。先発小林は要所を締めて２失点でしのいだ。
加藤学園は初回に太田の三塁打で１点を返したが、投手陣が踏ん張りきれなかった。
■小林９奪三振 集中切らさず
荒天で５３分の中断を挟んでも最後まで集中力を切らさなかった。藤枝明誠の主戦左腕小林は悪天候の中、７回を２失点に抑えて九つの三振を奪った。昨秋の県大会準決勝の雪辱を狙った加藤学園を返り討ちにした。
四回までに２点を失ったが、右翼手菅井の好返球で３点目を防ぐとギアを上げた。「スライダーを見極められても真っすぐを強く投げた」。五回以降は１安打しか許さず尻上がりに調子を上げた。
雨天を想定し万全の準備で臨んだ。前日はあえて水でぬらした球を使って投球練習を行い、感覚を指先になじませた。光岡監督はその姿勢に大きな成長を感じたというが、本人は「先輩のやる姿を見ていつも通りにやっただけ」と涼しい顔だ。
ピンチを迎えると力勝負で自滅することがあったが、この日は違った。「ペース配分や打たせて取ることができた」。一段大人びた投球で４強に名乗りを上げた。
■元記事＝藤枝明誠 コールドで加藤学園下す【春季高校野球静岡県大会】（「あなたの静岡新聞」２０２１年５月２日）
【準決勝】初先発の２年生山田が好投 浜松工退ける
▽準決勝（第２試合）
浜松工（西部５位）
０００００００００―０
００００２０００×―２
藤枝明誠（中部３位）
▽二塁打 清水（浜）宮城、青木（藤）
▽試合時間 １時間４０分
【評】好機を逃さなかった藤枝明誠が浜松工を退けた。
藤枝明誠は五回、２死二塁から高下、宮城の連続適時打で２点を先取。先発山田は要所を締め、八回まで５安打に抑え、小林につないだ。
浜松工は三、四、五回と先頭が安打で出塁し、いずれも二塁まで進めたが、後続を断たれた。
■山田 二枚看板に名乗り
藤枝明誠の背番号１０が力投した。県大会初先発となった２年生右腕山田が、８回を散発５安打で無失点。１１三振も奪い、浜松工打線を寄せ付けなかった。最終回は主戦の左腕小林にマウンドを譲ったが、完封リレーでチームを初めて春の東海大会に導いた。
「直球で内角を攻めることができ、勝負球も低めにいってくれた」と山田は投球を振り返った。「夏は（投手）１人では勝てない」と光岡監督は、中部大会準決勝の静岡戦で好投も実らず敗れた山田に、勝利を味わってもらうことにこだわった。小林も「山田があそこまでいい投球をしたので刺激になった」と三番から始まった最終回の登板を３者連続三振で締めくくった。
遠縁にあたるプロ野球楽天の牧田和久の活躍を励みにしてきた。昨冬のトレーニングで体重は３キロ増の７１キロに。１３０キロを超えたことがなかった直球はこの日、１３４キロを計測した。
光岡監督は試合後、「次は総力戦で臨もう」と選手に伝えた。掛川西との決勝は小林、山田の“二枚看板”で相手打線を封じ込み、秋春連覇を狙う。
■元記事＝藤枝明誠の背番号１０ ２年生右腕山田、８回無失点【春季高校野球静岡県大会】（「あなたの静岡新聞」２０２１年５月４日）
